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ミクシンスキーの演算子法と伝達関数(勉強ノート) [数学]

 自分の気に入った数学のネタを適当に書き出しています。

 ポーランドの数学者ヤン・ミクシンスキーによる「ミクシンスキーの演算子法」というものがあることを最近知って、とても面白いと感じたので、ここに自分なりの理解をノートします。特に、微分演算子やデルタ関数などが、ほとんど代数的な手法で正当化されることが興味深いです。また、結果がラプラス変換ととてもよく似ているので、制御工学で利用する伝達関数法との関連もちょっと調べてみました。

 実数区間 $[0,+\infty)$ の範囲で定義され、その上で連続となる複素数値関数の全体でつくる空間$\mathcal{C}$を考えます。$\mathcal{C}$上の加法演算$+$は普通の関数の和とし、乗法演算$\ast$を次のたたみ込み積分によって定めます。
\begin{equation*}
(f \ast g)(t) = \int_0^t f(t - \xi) g(\xi) d\xi
\end{equation*}
$\mathcal{C}$はこの演算について閉じており、交換則、結合則、および加法との分配則をみたします。しかしこれは乗法単位元を持ちません。なぜなら、もし$f$が乗法単位元と仮定すると、任意の $g \in \mathcal{C}$ に対して
\begin{equation*}
(f \ast g)(t) = \int_0^t f(t - \xi) g(\xi) d\xi = g(t)
\end{equation*}
となるはずですが、$g(0) \neq 0$ となる$g$に対してはこれは成立しないからです。よって $\langle \mathcal{C}, +, \ast \rangle$ は「乗法単位元を持たない可換環」ということになります。

 $[0,+\infty)$ で定数値$1$をとる単位ステップ関数を$\ell$とします。これは$\mathcal{C}$の元であり、
\begin{equation*}
(\ell \ast g)(t) = \int_0^t g(\xi) d\xi
\end{equation*}
をみたします。従って$\ell$は積分演算子とみなせます。

 ここで、$\mathcal{C}$は乗法演算$\ast$に関する零因子を持たないことがわかっています(「Titchmarshの定理」といって、証明はかなり難しいようなので、その理解は後回しにして先に進みます)。従って $\langle \mathcal{C}, +, \ast \rangle$ は「可逆化」という代数的手法によって、商体(あるいは分数体) $\langle \mathcal{L}, +, \ast \rangle$ を構成することができて、$\mathcal{L}$の元は $f \in \mathcal{C}, g \in \mathcal{C} \setminus \{0\}$ によって
\begin{equation*}
\frac{f}{g}
\end{equation*}
と表わされます。これは整数環$\mathbb{Z}$から有理数体$\mathbb{Q}$を作ったり、多項式環 $K[X]$ から有理式体 $K(X)$ を作ることと全く同じ「分数をつくる」手法です。そして $f \in \mathcal{C}$ に対して
\begin{equation*}
f \mapsto \frac{f \ast g}{g}
\end{equation*}
($g$は何であっても同じ)は$\mathcal{C}$から$\mathcal{L}$への埋め込み写像ですから、$f$と $\displaystyle \frac{f \ast g}{g}$ を同一視し、$\mathcal{C}$を$\mathcal{L}$の一部とみなすことができます。

 以下、$\mathcal{L}$の世界で成り立つ性質を順に書き出していきます。

 まず、$\mathcal{L}$は体ですから乗法単位元$\delta$をもち、それは $g \in \mathcal{C} \setminus \{0\}$ によって
\begin{equation*}
\delta = \frac{g}{g}
\end{equation*}
と表わされます。特に $f \in \mathcal{C}$ に対して
\begin{equation*}
f \ast \delta = f
\end{equation*}
ですから、$\mathcal{C}$では$\ast$がたたみ込み積分であったことを考えると、$\delta$は$f$に対してディラックのデルタ関数のように振る舞うことがわかります。

 複素数$c$に対して
\begin{equation*}
c \left( \frac{f}{g} \right) = \frac{cf}{g}
\end{equation*}
として$\mathcal{L}$の元のスカラー倍を定めることができます($cf$ は$f$を単純に$c$倍した関数)。このとき $\alpha, \beta \in \mathcal{L}$ に対して
\begin{equation*}
c \delta \ast \alpha = c \alpha, \quad c(\alpha \ast \beta) = (c \alpha) \ast \beta = \alpha \ast (c \beta)
\end{equation*}
が成り立ちます。以下紛らわしくない限り$\mathcal{L}$においては $c \delta$ を$c$と略記することとします。

 $\mathcal{C}$の積分演算子$\ell$は、同一視によって$\mathcal{L}$の元ともみなせますから、その乗法逆元$s$が存在します。従って
\begin{equation*}
s \ast \ell = \delta
\end{equation*}
です。この$s$は微分演算子とみなせます。なぜなら $f, f' \in \mathcal{C}$ならば、
\begin{equation*}
\int_0^t f'(\xi) d\xi = f(t) - f(0)
\end{equation*}
ですので、$\mathcal{C}$上の式に置き換えると
\begin{equation*}
\ell \ast f' = f - f(0) \ell
\end{equation*}
となり、これは$\mathcal{L}$に持ち込んでも同じですので、両辺に$s$をかけて $s \ast \ell = \delta$ を用いると、
\begin{equation} \tag{1}
f' = s \ast f - f(0)
\end{equation}
となるからです。$f$の導関数が$s$と$f$の積で表されていることがわかると思います(初期値がくっつきますが)。
 高階微分についてはこれを繰り返して、
\begin{equation*}
f^{(n)} = s^n \ast f - f(0) s^{n-1} - f'(0) s^{n-2} - \cdots - f^{(n-1)}(0)
\end{equation*}
となります。ただし $s^k$ は $s \ast s \ast \cdots \ast s$($k$個)の意味です。

 いくつかの具体的な関数は$\mathcal{L}$の世界で$s$の有理式で表すことができます。混乱を避けるため、$f \in \mathcal{C}$ が$t$を変数とする具体的な関数として $f(t)$(ただし $t \ge 0$ )と表されているとき、$\mathcal{C}$や$\mathcal{L}$上では
\begin{equation*}
f = \{ f(t) \}
\end{equation*}
と書くこととします。
 まず、指数関数 $f(t) = e^{at}$($a$は複素数)については、$\mathcal{C}$上で
\begin{equation*}
\{ e^{at} \}' = a\{ e^{at} \}
\end{equation*}
ですから、これを$\mathcal{L}$に持ち込み、 $(1)$を用いると
\begin{equation*}
s \ast \{ e^{at} \} - 1 = a\{ e^{at} \}
\end{equation*}
となります。$\mathcal{L}$は体ですから単純に式変形ができて、
\begin{equation} \tag{2}
\{ e^{at} \} = \frac{1}{s - a}
\end{equation}
となり、これが指数関数の表現です。ラプラス変換と同じ形をしていますが、これは単に関数を$\mathcal{L}$の世界に「持ち込んだ」だけですので、変換したというわけではありません。

 三角関数については複素指数関数を用いると、$(2)$より
\begin{eqnarray*}
\{ \cos{at} \} &=& \left\{ \frac{e^{iat} + e^{-iat}}{2} \right\} = \frac{1}{2} \left( \frac{1}{s - ia} + \frac{1}{s + ia} \right) \\
\\
&=& \frac{s}{s^2 + a^2}
\end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*}
\{ \sin{at} \} &=& \left\{ \frac{e^{iat} - e^{-iat}}{2i} \right\} = \frac{1}{2i} \left( \frac{1}{s - ia} - \frac{1}{s + ia} \right) \\
\\
&=& \frac{a}{s^2 + a^2}
\end{eqnarray*}
と表現できます。
 さらに $n \in \mathbb{N} \setminus \{ 0 \}$ のとき、
\begin{equation*}
(e^{at} t^n )' = a e^{at} t^n + n e^{at} t^{n-1}
\end{equation*}
が成り立ちますから、$\mathcal{L}$に持ち込むと、
\begin{equation*}
\{ e^{at} t^n \} = \frac{n}{s - a} \ast \{ e^{at} t^{n-1} \}
\end{equation*}
となることより、
\begin{equation*}
\{ e^{at} t^n \} = \frac{n!}{(s - a)^{n+1}}
\end{equation*}
と表現できます。特に $a = 0$ とすると、
\begin{equation*}
\{ t^n \} = \frac{n!}{s^{n+1}}
\end{equation*}
となります。以上の表現はみなラプラス変換と同じ形をしていることがわかると思います。

 さて、$\mathcal{L}$の世界は微分演算子$s$を持ちますから、制御工学で用いる線型システムの「伝達関数」が定義できるはずです。これをやってみましょう。
 次の微分方程式で表された線型システムを考えます。
\begin{equation} \tag{3}
y^{(n)} + a_{n-1}y^{(n-1)} + \cdots + a_1y' + a_0y = b_mu^{(m)} + \cdots + b_1u' + b_0u
\end{equation}
ただし $u(t)$ は入力関数、$y(t)$ は出力関数です。$(3)$を$\mathcal{L}$に持ち込み、初期値は全て$0$とすると、
\begin{equation} \tag{4}
( s^{n} + a_{n-1}s^{n-1} + \cdots + a_1s + a_0 ) \ast y = ( b_ms^{m} + \cdots + b_1s + b_0 ) \ast u
\end{equation}
となります。そこで形式的に$s$を変数とする複素係数多項式 $A(s), B(s)$ および有理式 $G(s)$ を
\begin{eqnarray*}
A(s) &=& s^{n} + a_{n-1}s^{n-1} + \cdots + a_1s + a_0 \\
\\
B(s) &=& b_ms^{m} + \cdots + b_1s + b_0 \\
\\
G(s) &=& \frac{B(s)}{A(s)}
\end{eqnarray*}
と定めると、$(4)$は
\begin{equation*}
y = G(s) \ast u
\end{equation*}
と変形されます。この $G(s)$ が$(3)$のシステムの「伝達関数」であるということができます。ただし$\mathcal{L}$の世界では$s$は変数ではなく微分演算子という「定数」ですので、安易に $G(s)$ を「$s$の関数」として扱うわけにはいきません。もう少し考察が必要です。

 入力を $u = \delta$ としたときの出力 $y = G(s)$ がインパルス応答、$u = \ell = 1/s$ としたときの出力 $y = G(s)/s$ がステップ応答となることは、素直に理解できると思います。これらが$s$の有理式の場合には、部分分数分解を行うと、先ほど示した指数関数と多項式関数の組み合わせで$y$が具体的な関数として「解ける」ことになります。
 インパルス応答が $t \to +\infty$ で$0$に収束するとき、システムは安定であるといいます。これは $G(s)$ の全ての極の実部が負であることと同値です。

 安定なシステムに正弦波入力を与えたとき、すなわち $u(t) = e^{i \omega t}$($\omega$は正実数)としたとき、出力 $y(t)$ が定常状態($t \to +\infty$)でどうなるかを考えます。まず$(3)$の右辺は容易にわかるように $B(i \omega) e^{i \omega t}$ ですから、$\mathcal{L}$に持ち込むと$(4)$と$(2)$より、
\begin{equation*}
y = \frac{1}{A(s)} \ast \frac{B(i \omega)}{s-i \omega}
\end{equation*}
となります。安定条件より $A(s)$ は$s$の多項式として $i \omega$ を根に持たないから、
\begin{equation*}
\frac{1}{A(s)} \ast \frac{1}{s-i \omega} = \frac{P(s)}{A(s)} + \frac{Q}{s-i \omega}
\end{equation*}
と部分分数分解できます。ここで$P(s)$は次数 $n-1$ 以下の$s$の複素係数多項式、$Q$は複素定数で、
\begin{equation*}
1 = P(s) \ast (s-i \omega) + QA(s)
\end{equation*}
ですから、係数比較によって、
\begin{equation*}
Q = \frac{1}{A(i \omega)}
\end{equation*}
が得られ、これより
\begin{eqnarray*}
y &=& B(i \omega) \left( \frac{P(s)}{A(s)} + \frac{1 / A(i \omega)}{s-i \omega} \right) \\
\\
&=& \frac{B(i \omega)P(s)}{A(s)} + \frac{G(i \omega)}{s-i \omega}
\end{eqnarray*}
が成り立ちます。ここで定常状態を考えると、右辺の第1項は安定条件より$0$に収束するから無視できて、
\begin{eqnarray*}
y &\simeq& \frac{G(i \omega)}{s-i \omega} \\
\\
&=& G(i \omega) \{ e^{i \omega t} \}
\end{eqnarray*}
とみなせます。従って定常状態では
\begin{equation*}
y(t) \simeq G(i \omega) e^{i \omega t}
\end{equation*}
となって、出力は入力の $G(i \omega)$ 倍の正弦波となります。
 従って周波数応答は伝達関数 $G(s)$ に形式的に $s = i \omega$ を代入した $G(i \omega)$(一般に複素数)になり、その絶対値 $\left| G(i \omega) \right|$ はゲイン、偏角 $\angle G(i \omega)$ は位相に相当することがわかります。

 以上によって、ミクシンスキーの演算子法によって作られた$\mathcal{L}$の世界でも、伝達関数法による制御理論が展開できるということがわかりました。

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DMV工事中の阿佐海岸鉄道とバスで室戸岬めぐり [バス]

 徳島県の南端から高知県の東端にかけて、阿佐海岸鉄道というわずか2駅間8.5kmを結ぶ鉄道があります。
 過疎地を走る赤字路線ですが、これが2020年度内にDMV(Dual Mode Vehicle)という鉄道と道路を直通できる自動車に置き換わるという話で、現在工事中ということなので、「普通の鉄道のうちに乗っておかねば」という気持ちが沸き起こり、ついでにかねてからの課題であった室戸岬のバス巡りもしておこうと思い立ち、年明け早々の3連休に一泊二日で行ってきました。

 DMVについては、阿佐海岸鉄道のWebサイトを参照ください。

 ルート記録はバス部分のみです。阿佐海岸鉄道は右上の海陽町から東洋町を結ぶ部分にあります。



 神戸から淡路島を通り抜けてまずは徳島駅まで高速バスで行きます。

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 JR四国の牟岐線で南下しますが、とりあえず阿南まで行って途中下車します(きっぷ上は徳島〜海部間が100kmないので途中下車にはならず、別々に買う必要があります)。

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 阿南駅前で昼食をした後、甲浦までのきっぷを買って海部行きに乗ります。DMVになった後はこの甲浦までの連絡きっぷも買えるかどうかわかりません。

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 海部までがJRで、この先は阿佐海岸鉄道です。例の不思議なトンネルを写真に取って、乗り換えます。
 DMV後には海部の一つ手前の阿波海南からが阿佐海岸鉄道になる予定です。

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 「冬ホタル」というヘッドマークのとおり、車内はLEDのイルミネーションで飾られています。

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 トンネルと海を見ながら走り、すぐに終点の甲浦に到着です。黒いビニール袋が並んだ車止めが目立ちます。

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 DMVになるとこの駅と阿波海南駅の2箇所で、鉄道モードと道路モードの転換をすることになります。甲浦駅前では高架から地上に降りるアプローチを作る工事の真っ最中でした。

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 DMVができた暁には、鉄道から道路に下りて室戸岬まで直通する路線もできるとの話です。

 現時点ではこの先は高知東部交通のバスになります。甲浦の駅舎は工事で使えないのでプレハブ仮設の待合所ができており、そこで少し待つとまもなくバスがやって来ました。

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 東洋町の中心部集落を抜けると、室戸岬近くまで人口希薄地帯の海岸を延々と走ります。

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 夫婦岩を通り過ぎると、まもなくジオパーク前でバスを乗り換え、室戸岬の手前のバス停で下車します。

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 海に面した洒落た古いホテルで一泊します。
 部屋から東に面した海が見えますが、天気が悪く日の出は残念ながら見れませんでした。

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 翌日は雨の中、ホテルから少し歩いて室戸岬のバス停まで行き、ちょっとだけ海辺を散策してから安芸行きのバスに乗ります。

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 室戸岬の西側は東側に比べると集落が多く、室戸市の中心部はそこそこ賑やかです。

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 途中の奈半利駅でバスを降り、ここからは土佐くろしお鉄道のごめん・なはり線に乗り換えて、高知まで鉄路で向かいます。

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 もともとは牟岐から後免まで室戸を通って全部鉄道で結ぶ計画でしたが、色々な経緯があって現在の中途半端な部分のみの開通になりました。阿佐海岸鉄道のDMV化については個人的には色々と突っ込みたいこともありますが、やると決まったからにはなるべく多くの人に乗りに来て欲しいものですし、僕もまた乗りに来ようと思います。

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晩秋の北摂山間部を神姫バスと阪急バスで一巡り [バス]

 「北摂」という地域名はよく聞きますが、だいたいは大阪府北部の阪急沿線を指すようです。しかし本来は摂津国の北部なので、神戸市北区から三田、宝塚にかけての兵庫県内阪神北部地域も北摂に入るはずです。
 この地域はニュータウンもありますが、それらの間に山地や田園が広がるのどかな雰囲気の地域で、神姫バスや阪急バスの路線が各地を結んでいます。今回はその中でも本数の比較的少ない路線を選んで、ぐるっと回ってきました。



 神戸の中心、三宮の神姫バスターミナルからスタートです。六甲山地の北側に向けてたくさんの路線があり、特に三田方面は本数も多いです。今回はその中でも一日3本しかない吉川庁舎前行に乗ります。

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 9時に同時発車するネスタリゾートやアウトレット行は大勢の乗客がいましたが、僕の乗ったバスには数えるほどしかいませんでした。

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 出発してすぐに、六甲山地を南北に貫く新神戸トンネルをくぐり抜けます。

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 トンネルを抜けると少し田園地帯が続きますが、まもなく岩谷峠の無人地帯に突入です。
 路線のこの部分は「夏ルート」と「冬ルート」があり、夏ルートでは岩谷峠を通りますが、冬ルートは迂回路になり岩谷峠を通りません。この日は夏ルートを走る最後の土曜日でした。

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 まだ紅葉が残る山中をひたすら走ります。

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 峠を越えて山を下ると、神戸市北区淡河の集落になります。

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 さらに田園地帯の集落を通り抜けて、三木市(旧吉川町)に入ると、新興住宅地の美奈木台に着きます。

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 ここで下車して、間もなく来る新三田行のバスに乗り換えます。

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 この路線も一日3本しかない閑散路線で、田園地帯の集落を通り抜けて三田の大ニュータウンに入るルートです。

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 この日は三田マラソンが開催される影響で、新三田まで行かずに途中で打ち切りになりました。仕方がないので神鉄でウッディータウンから三田まで電車移動です。

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 午後は三田から再び神姫バスの羽豆川行に乗ります。

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 この路線も終点までひたすら田園地帯です。

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 ここで、神姫バスの波豆川口と阪急バスの波豆川が隣接してるので、路線図上では乗り継ぎができるように見えます。しかし阪急バスの波豆川には早朝と夜しかバスが来ないので、乗り継ぎは非常に困難であり、仕方がないのでもう少し本数の多い上佐曽利まで少し歩きます。

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 市境を越えて宝塚市に入ると、ほどなく上佐曽利のバス停に着きます。

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 周辺には商店はないですが自販機はあるので、缶飲料を飲みながらのんびり過ごし、間もなく来たJR武田尾行の阪急バスに乗ります。

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 宝塚市北部の西谷地区で途中下車し、コーヒーで一息ついてから宝塚行のバスに乗り継いで、この日の路線バス巡りは終了です。

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 ニュータウンやアウトレットだけではない阪神北部の田園地域をバスで巡り、晩秋の晴れた日に心が洗われた一日でした。

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わかってない奴がわかったつもりで書き留める超準解析(その16) [数学]

【超準解析について生半可な知識しかない僕が、わかったつもりの内容をちょっとずつ書き留めていきます。不正確な内容や誤りもあることをご承知ください。】

(16) ヒルベルト立方体のコンパクト性

 今回は、何の脈絡もなくタイトルの事実を超準解析を使って証明します(単に僕が簡単で面白いと思ったからです)。

 ヒルベルト立方体とは、$\mathbb{R}$ の閉区間 $[0,1]$ の可算無限個の直積、つまり $0$ 以上 $1$ 以下の値をとる実数列の全体のことをいいます。これを $\mathcal{H}$ と書くことにします。
\begin{equation*}
\mathcal{H} = [0,1]^\mathbb{N} = \, \{ \, \alpha \, \mid \, \alpha \in {}^\mathbb{N}\mathbb{R} \land \forall i \in \mathbb{N} \, (0 \le \alpha(i) \le 1) \, \}
\end{equation*}
 $\mathcal{H}$ 上に次によって距離 $d$ を定めると、$\langle \mathcal{H},d \rangle$ は距離空間になります。
\begin{equation*}
d(\alpha,\beta) = \sum_{i=0}^\infty \frac{\left| \alpha(i)-\beta(i) \right|}{2^{i+1}}
\end{equation*}
 以下、超準解析を使って $\langle \mathcal{H},d \rangle$ がコンパクト空間であることを証明します。

 距離空間がコンパクトであることを超準解析で証明するためには、第8回【定理3】を使えばよいわけですが、$\mathcal{H}$ の距離の定義に無限級数が使われていますので、そのままでは超準モデル ${}^*\mathcal{H}$ の距離にはうまく移行できません。このため次で示すように、無限級数を有限和で近似させるという手段を取ります。

 $\alpha \in \mathcal{H}$ と自然数 $n$ に対し、$\alpha$ の $n$ 番目以降の値が全て $0$ である数列を $\alpha^{(n)}$ と書くことにします。このとき、
\begin{equation*}
d(\alpha,\alpha^{(n)}) = \sum_{i=n}^\infty \frac{\left| \alpha(i) \right|}{2^{i+1}} \le \sum_{i=n}^\infty \frac{1}{2^{i+1}} = \frac{1}{2^n}
\end{equation*}
より、
\begin{equation} \tag{1}
d(\alpha,\alpha^{(n)}) \le \frac{1}{2^n}
\end{equation}
が成立します。また、$\alpha, \beta \in \mathcal{H}$ と自然数 $n$ に対し、
\begin{equation*}
d(\alpha^{(n)}, \beta^{(n)}) = \sum_{i=0}^{n-1} \frac{\left| \alpha(i) - \beta(i) \right|}{2^{i+1}} \le \max_{i \le n-1}{\left| \alpha(i) - \beta(i) \right|} \sum_{i=0}^{n-1} \frac{1}{2^{i+1}} = \max_{i \le n-1}{\left| \alpha(i) - \beta(i) \right|} (1 - \frac{1}{2^n})
\end{equation*}
より
\begin{equation} \tag{2}
d(\alpha^{(n)}, \beta^{(n)}) \le \max_{i \le n-1}{\left| \alpha(i) - \beta(i) \right|} (1 - \frac{1}{2^n})
\end{equation}
が成立します。

 一方、$\mathcal{H}$ の超準モデル ${}^*\mathcal{H}$ については、
\begin{equation*}
{}^*\mathcal{H} = \, \{ \, \alpha \, \mid \, \alpha \in {}^{{}^*\mathbb{N}*}\mathbb{R} \land \forall i \in {}^*\mathbb{N} \, (0 \le \alpha(i) \le 1) \, \}
\end{equation*}
つまり、${}^*\mathcal{H}$ は $0$ 以上 $1$ 以下の超実数列番号も超自然数)の全体です。$\alpha \in {}^*\mathcal{H}$ と超自然数 $n$ に対して $\alpha^{(n)}$ を同様に定めると、$(1)$と移行原理より
\begin{equation} \tag{3}
{}^*d(\alpha,\alpha^{(n)}) \le \frac{1}{2^n}
\end{equation}
が成立し、また、$\alpha, \beta \in {}^*\mathcal{H}$ と超自然数 $n$ に対して、$(2)$と移行原理より
\begin{equation} \tag{4}
{}^*d(\alpha^{(n)}, \beta^{(n)}) \le \max_{i \le n-1}{\left| \alpha(i) - \beta(i) \right|} (1 - \frac{1}{2^n})
\end{equation}
が成立します。

 さて、$\mathcal{H}$ がコンパクトであることを示すためには、第8回【定理3】より、任意の $\alpha \in {}^*\mathcal{H}$ に対して
\begin{equation*}
{}^*d(\alpha, \beta) \approx 0
\end{equation*}
となる $\beta \in \mathcal{H}$ が存在することを示せばよいわけです。いま任意に $\alpha \in {}^*\mathcal{H}$ をとります。これに対して、
\begin{equation*}
\forall i \in \mathbb{N} \, (\beta(i) = \mathrm{st}(\alpha(i)))
\end{equation*}
となる $\beta \in \mathcal{H}$ をとることができます($0 \le \alpha(i) \le 1$ だから右辺は実数値として定まります)。ここで任意に正実数 $\epsilon$ をとると、これに対して
\begin{equation*}
\frac{1}{2^n} < \epsilon
\end{equation*}
をみたす自然数 $n$ がとれ、$(1)$より
\begin{equation*}
d(\beta,\beta^{(n)}) \le \frac{1}{2^n} < \epsilon
\end{equation*}
となります。次に、
\begin{equation*}
\mu = \max_{i \le n-1}{ \left| \beta(i) - \alpha(i) \right| }
\end{equation*}
とおくと、$\beta$ の定め方より $\mu \approx 0$ ですから、$(4)$より
\begin{equation*}
{}^*d(\beta^{(n)}, \alpha^{(n)}) \le \mu (1 - \frac{1}{2^n}) \approx 0
\end{equation*}
となって ${}^*d(\beta^{(n)}, \alpha^{(n)}) \approx 0$ です。さらに$(3)$より
\begin{equation*}
{}^*d(\alpha^{(n)}, \alpha) \le \frac{1}{2^n} < \epsilon
\end{equation*}
です。これらより
\begin{equation*}
{}^*d(\beta, \alpha) \le d(\beta,\beta^{(n)}) + {}^*d(\beta^{(n)}, \alpha^{(n)}) + {}^*d(\alpha^{(n)}, \alpha) \le 2\epsilon
\end{equation*}
となって、
\begin{equation*}
{}^*d(\beta, \alpha) \le 2\epsilon
\end{equation*}
が得られます。$\epsilon$ は任意の正実数だから ${}^*d(\beta, \alpha) \approx 0$ ということになり、第8回【定理3】より $\langle \mathcal{H},d \rangle$ がコンパクト空間であることが証明されました。

 距離の定義となった無限級数に移行原理を使おうとするのではなく、有限和から得られた不等式に移行原理を適用するのが本証明のミソです。

(続く)(前記事)(目次)



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自然な量の公理系では和の交換則が冗長であることについて [数学]

 前回の記事 「ぼくのかんがえたさいきょうの実数論」発表レポート の中で、初めに「いにしえの塩売りが量の概念を数学的にとらえた公理系?」を紹介しました。

20191102ぼくのかんがえたさいきょうの実数論(ブログ用修正).003.jpeg

 このスライドの下の方にひっそりと、
「実は交換則 3) は冗長(他から証明できる)」
と書かれていることにお気づきかと思います。本記事ではそれを証明します。

 前提として、$\langle Q,+,< \rangle$ はスライドに書かれた「(正の)量の空間」の3)を除く各公理をみたす空間とします。この前提から3)を証明するのが目的です。改めて公理として再掲します。

【公理】$\langle Q,+,< \rangle$ は次をみたす空間とする。
 1) $\lnot a < a \land (a=b \lor a < b \lor b < a)$
 2) $a < b \land b < c \to a < c$
 3) (削除)
 4) $(a+b)+c=a+(b+c)$
 5) $a < a+b$
 6) $a < b \to \exists c \, (a+c=b)$
 7) $\exists n \in \mathbb{N}_+ \, (b < na) \quad$ ただし$na$は$a$の$n$個の和(アルキメデス性)

 1), 2) より $Q$ は全順序集合であり、以下の議論では全順序集合の性質は自由に使います。また 4) の結合則から得られる性質も自由に使います。ことわりがなければ変数は全て $Q$ 上のものです。

 まず、$Q$ において消去則が成りたつことを示します。左からの和については簡単に示せます。

【補題1】$Q$ において次が成立する。
 1) $a < b \leftrightarrow c+a < c+b$
 2) $a=b \leftrightarrow c+a=c+b$

(証明)
1) $a < b$ ならば、【公理】6) より $a+d=b$ となる $d$ が存在し、$c+a+d=c+b$ となるから【公理】5) より $c+a < c+b$ である。
 逆に $c+a < c+b \land \lnot a < b$ と仮定すると、$a=b$ のときは $c+a=c+b$ となって矛盾し、$b < a$ のときは $c+b < c+a$ となってやはり矛盾する。
2) $\to$は明らか。逆に $c+a=c+b \land a \neq b$ を仮定すると、$a < b$ のときは 1) より $c+a < c+b$ となって矛盾し、$b < a$ のときも同様に矛盾する。□

 右からの和についての消去則を示すためには、アルキメデス性が必要になります。

【補題2】$Q$ において次が成立する。
 1) $a < b+a$
 2) $a < b \leftrightarrow a+c < b+c$
 3) $a=b \leftrightarrow a+c=b+c$

(証明)
1) $a \ge b+a$ と仮定すると、【補題1】1) より、
\begin{equation*}
a \ge b+a \ge b+b+a \ge b+b+b+a \ge \cdots
\end{equation*}
より、任意の $n \in \mathbb{N}_+$ に対して $a \ge nb+a$ である。【公理】5) より $a > nb$ となるから、これは【公理】7) (アルキメデス性)と矛盾する。従って $a < b+a$ が成立する。
2) $a < b$ ならば、【公理】6) より $a+d=b$ となる $d$ が存在し、1) より $c < d+c$ だから、【補題1】1) より
\begin{equation*}
a+c < a+d+c = b+c
\end{equation*}
となって$\to$が成立する。逆向きは【補題1】1) の後半と同様。
3) 【補題1】2) と同様。□

 これらの補題を用いて、【公理】から削除された交換則を証明します。見やすさのため証明中では補題はなるべく引用しないことにします。

【定理】【公理】 の 1), 2) および 4)〜7) から
 3) $a+b=b+a$
が導かれる。

(証明)3) が成り立たない、すなわちある $a,b$ に対して $a+b \neq b+a$ であると仮定する。$a+b < b+a$ として一般性を失わない。このとき【公理】6) より
\begin{equation} \tag{1}
a+b+c=b+a
\end{equation}
となる $c$ が存在する。そこで、任意の $n \in \mathbb{N}_+$ に対し
\begin{equation} \tag{2}
\forall a,b,c \, (a+b+c=b+a \to nc < a)
\end{equation}
が成り立つことを示す。これが示されたら$(1)$をみたす $a,b,c$ と任意の $n \in \mathbb{N}_+$ に対して $nc < a$ となるから、【公理】7)(アルキメデス性)と矛盾するので証明が完了する。
 $n$に関する数学的帰納法を用いる。
(I) $n=1$ のとき。任意に$(1)$をみたす $a,b,c$ をとる。
\begin{equation*}
a+b+c = b+a < a+b+a
\end{equation*}
より $c < a$ となるから、$n=1$ のときは$(2)$が成立する。
(II) $n=k$ に対して$(2)$が成立すると仮定する。任意に$(1)$をみたす $a,b,c$ をとる。このとき $a \neq b$ は明らか。$a < b$ の場合を考える。アルキメデス性より
\begin{equation*}
pa \le b < (p+1)a
\end{equation*}
をみたす $p\in \mathbb{N}_+$ がとれる。$pa=b$ と仮定すると、$(1)$に代入して $a+pa+c=pa+a$ より $(p+1)a+c=(p+1)a$ が導かれるから、【公理】5) と矛盾し、従って $pa < b$ である。すると【公理】6) より、
\begin{equation*}
pa+b' = b \ \land \ b' < a
\end{equation*}
をみたす $b'$ がとれる。$(1)$に代入して $(p+1)a+b'+c=pa+b'+a$ より、
\begin{equation} \tag{3}
a+b'+c=b'+a \ \land \ b' < a
\end{equation}
が成り立つ。$b < a$ の場合は $b'=b$ とすると$(3)$が成り立つから、いずれの場合も$(3)$をみたす $b'$ が存在する。
 この $b'$ に対し、アルキメデス性によって同様に
\begin{equation*}
qb' \le a < (q+1)b'
\end{equation*}
をみたす $q \in \mathbb{N}_+$ がとれる。$qb'=a$ と仮定すると、$(3)$に代入して同様に $(q+1)b'+c=(q+1)b'$ が導かれるから、【公理】5) と矛盾し、従って $qb' < a$ である。すると【公理】6) より、
\begin{equation*}
qb'+a' = a \ \land \ a' < b'
\end{equation*}
をみたす $a'$ がとれる。$(3)$に代入して $qb'+a'+b'+c=(q+1)b'+a'$ より、
\begin{equation} \tag{4}
a'+b'+c=b'+a' \ \land \ a' < b'
\end{equation}
が成り立つ。
 さて、この$(4)$と帰納法の仮定より $kc < a'$ であるから、
\begin{equation*}
a=qb'+a' > qa'+a' \ge 2a' > 2kc \ge (k+1)c
\end{equation*}
が成り立つ。従って $n=k+1$ のときにも$(2)$が成立する。
 (I)(II)より、数学的帰納法によって任意の $n \in \mathbb{N}_+$ に対し$(2)$が示され、証明は完了した。□

 証明の随所でアルキメデス性が強力に効いていることがわかります。アルキメデス性がなければ交換則の成り立たない(他の性質は成りたつ)空間を作ることが可能です。

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「ぼくのかんがえたさいきょうの実数論」発表レポート [数学]

 先日大阪で行われた「第6回関西日曜数学友の会」で、タイトルの5分間発表をしました。その内容をここで紹介します。
 なお、発表では証明はすべて省略しましたが、本記事の最後に証明集へのリンクを掲載しましたので、興味のある方はご覧ください。

20191102ぼくのかんがえたさいきょうの実数論.001.jpeg

 タイトルスライドです。本当は僕のオリジナルではなく、自分で考えたのは事実ですが、南雲道夫という数学者の方が戦前に既にこの内容で論文を出しておられたことを後から知りました。

20191102ぼくのかんがえたさいきょうの実数論.002.jpeg

 本発表の動機をつらつらと書いております。深く取らないでほしいです。

20191102ぼくのかんがえたさいきょうの実数論(ブログ用修正).003.jpeg

 実数とは本来「量」から考えられたものという立場にたって、「量」とはなんなのかということを数学的にとらえてみました。天秤棒で塩を量り売りするいにしえの塩売りだって、「量」のこういう性質を認識していたに違いありません(彼にとって量は商売の根幹ですから)。これを「正の量の公理系」として、このあとは数学の考察になります。
 なお、塩売りのマンガは僕のオリジナルです。自由に使って結構です。

20191102ぼくのかんがえたさいきょうの実数論.004.jpeg

 塩売りは量が「連続性」をもつなんて考えていなかったと思いますが、アルキメデス性は認識していたと思われます。アルキメデス性をもつ量の空間を理想的に拡大したら、それは「連続性」をもつ量の空間になります。ここがデデキントさんによる偉大な発見の部分です。

20191102ぼくのかんがえたさいきょうの実数論.005.jpeg

 量を「○倍する」という概念が実数である、という考え方をすると、量の空間上の自己準同型写像というアイデアに行き着きます。そこでこれを正の実数の定義とします。和、積、および順序は自然に定まります。

20191102ぼくのかんがえたさいきょうの実数論.006.jpeg

 自己準同型写像を正実数と定義すると、ここまではスルスルと面白いように導出されます。強調したいのは、積は写像の合成で定義しましたので、積の結合則は自明ですが交換則は決して自明には出てこない、ということです。

20191102ぼくのかんがえたさいきょうの実数論(ブログ用修正).007.jpeg

 スライドの上部に書かれた3つの定理を証明すると、正実数の残りの性質が導かれます。この3つの定理は意外と証明が面倒です。特に3つめの定理は、量と実数との本質的な関係を表したものになっています。
 正実数の性質がわかれば、それを元に実数全体を構成することは、半環から環を作るという一般的な手法で行えます。

20191102ぼくのかんがえたさいきょうの実数論.008.jpeg

 まとめのスライドです。実数の積の交換則が自明でないことを再度強調しました。また南雲さんのことにも最後に触れました。

 以上の発表内容に関わる一連の証明はここにPDFで載せてあります。きちんと書き出すと結構長いものになりました。

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秋の丹後半島をバス乗り継ぎ600円で一周 [バス]

 しばらく何やかやと忙しくて乗りバスができていなかったのですが、先日久しぶりに休日に暇ができたので、かねてからの課題であった丹後半島の路線バス一周をしてきました。



 この地域を走る丹後海陸交通のバスは、地元の京丹後市の施策によって、市内どの路線でも1乗車の運賃の上限が200円に抑えられています(200円均一ではなく、もっと安い区間もあります)。周辺の市町もこれに追随した結果、網野から経ヶ岬乗継で天橋立までの丹後半島一周がなんと600円で行けてしまうことになりました。距離にして70km強がわずか600円というこの安さは一般路線バスでは驚異的な運賃です。

 半島を左手に海をみて回りたいため、京都丹後鉄道の網野駅からバスに乗ります(峰山駅からも乗れます)。

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 網野の市街地を通り抜けたら、間もなく海が見えてきます。

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 間人と書いて「たいざ」と読む港町を通り、半島西側の綺麗な海岸線を眺めて1時間ほど走ると、終点の経ヶ岬に着きます。

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 経ヶ岬のバス停は国道の途中にあるのでここからは海も何も見えません。乗継時間が1時間ちょっとあったので、岬の方へ歩くことにします。

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 15分ほど歩くと海の見える駐車場に着きます。ここから灯台もちょっと見えます。

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 灯台までは山道を10分ほど歩きます。往復でバスの時間に間に合うのかちょっと気になりましたが、ここまで来たら灯台まで行くことにします。

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 時間がないのでササッと写真だけ撮って戻ります。

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 バス停まで戻り、引き続き半島東側を走る宮津行のバスに乗ります。こちらは複数の市町をまたがるためか、運賃が途中で200円から400円に上がりますが、それでも格安です。

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 トンネルを抜けるとすぐ眼下に海が見え、そのまま変化に富んだ海岸線を走ります。

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 舟屋で有名な伊根では、町内の狭い道をゆっくり走ります。途中下車して観光したかったのですが、今回は残念ながら時間がありませんでした。

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 天橋立を左手に見ながら与謝の海(阿蘇海)をぐるっと回りこみ、天橋立駅に到着です(バスは宮津駅を通って上宮津まで行きます)。

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 天橋立は休日なのでさすがに観光客で溢れかえっており、乗り継いだ京都丹後鉄道の特急は満席で座れませんでした。

 京丹後市と周辺の自治体による「上限200円バス」の施策は本当に画期的で、地元の人にとっても便利ですが旅行者も気軽にバスに乗ってあちこちに行くことができます。この日も伊根から天橋立の間では外国の方を含めてたくさん利用されてました。

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わかってない奴がわかったつもりで書き留める超準解析(目次) [数学]

【超準解析について生半可な知識しかない僕が、わかったつもりの内容をちょっとずつ書き留めていきます。不正確な内容や誤りもあることをご承知ください。】

 数学の知識をある程度つけた者が、超実数の世界では無限小やら無限大やらが自由に扱えることを知って、なんか面白いと思って超準解析をテキストでちゃんと勉強しようとします。するとそこには「ツェルメロ宇宙」やら「上部構造」やらのいきなり小難しい概念から始まるので、そこで萎えてしまうこともあろうかと思います。ここではもう少し簡単に、一般に数学モデルにはそれを拡大した「超準モデル」が存在することを説明し、それを実数体に適用することで「超実数体」が得られる、そして「移行原理」を駆使することで様々な性質が導ける、という順序で超準解析のサワリを紹介します。

(目次)

(1) 超準モデルについて

(2) 実数体の超準モデル「超実数体」

(3) 極限、連続、一様連続

(4) 微分

(5) 超自然数と数列

(6) 超冪による超準モデルの構成

(7) 距離空間の超準モデル

(8) 全有界+完備 ⇔ コンパクト

(9) 距離空間上の関数列

(10) アスコリ・アルツェラの定理

(11) 距離空間の完備化

(12) 絶対値をもつ可換環の完備化(p進数体の構成など)

(13) 超有理数体を用いた実数体の構成

(14) 超有理数から導くp進数とp進展開

(15) 積分と*有限和

(16) ヒルベルト立方体のコンパクト性

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わかってない奴がわかったつもりで書き留める超準解析(その15) [数学]

【超準解析について生半可な知識しかない僕が、わかったつもりの内容をちょっとずつ書き留めていきます。不正確な内容や誤りもあることをご承知ください。】

(15) 積分と*有限和

 今回は超準解析による積分を扱います。とはいっても生半可な知識しかないので、連続な実関数のリーマン積分だけを対象とします。超準解析を使うと、積分が第5回の記事で紹介した「*有限和」で表され、基本的な公式が*有限和を用いて導かれることが今回の内容です。
(第5回では*有限和を極めて適当にしか紹介していませんが、今回はその適当な範囲でしか用いないので大丈夫?です。)

 $\mathbb{R}$上の有界閉区間 $I=[a,b]$ に対して、次の性質をみたす$\mathbb{N}^2$から$\mathbb{R}$への関数$x$を考えます。
\begin{equation*}
\forall n \in \mathbb{N} \, (a = x(0,n) < x(1,n) < \cdots < x(n,n) = b)
\end{equation*}
 本記事ではこのような二重数列$x$に対し、$x(k,n) = x^n_k$ とかくことにします(ここで右上添字は冪乗を意味しません)。$n$を固定して $0 \le k \le n$ の範囲だけをとった数列 $\{ x^n_k \}$ を「区間$I$の$n$分割」と呼ぶこととします。$x$の超準拡大${}^*x$が考えられますが、これについても同様に ${}^*x(k,n) = x^n_k$ とかきます(アスタリスクは省略)。さらに $0 \le k \le n - 1$ をみたす$k$に対し、
\begin{equation}
\Delta x^n_k = x^n_{k+1} - x^n_k
\end{equation}
と定めます。このとき次の条件を仮定します。
\begin{equation}
\lim_{n \to \infty} \max_{0 \le k \le n - 1} \Delta x^n_k = 0 \tag{1}
\end{equation}
つまり分割の幅は$n$に伴い無限に小さくなるという条件です。これは超準解析における数列の収束条件より、次と同じになります。
\begin{equation}
\forall n \in {}^*\mathbb{N}_\infty \, \forall k < n \, (\Delta x^n_k \approx 0)
\end{equation}
特に、
\begin{equation*}
x^n_k = a + \frac{k(b - a)}{n}
\end{equation*}
で定まる $\{ x^n_k \}$ は区間$I$の等幅$n$分割と呼ばれ、その区間幅は
\begin{equation*}
\Delta x^n_k = \frac{b - a}{n}
\end{equation*}
と$k$に無関係となり、$(1)$の条件もみたされます。
 また、別の$\mathbb{N}^2$から$\mathbb{R}$への関数$\xi$(これも $\xi(n,k)=\xi^n_k$ とかきます)を、次の性質をみたすようにとります。
\begin{equation*}
\forall n,k \in \mathbb{N} \, (0 \le k \le n - 1 \to x^n_k \le \xi^n_k \le x^n_{k+1})
\end{equation*}
 ここで、$f$を区間$I$から$\mathbb{R}$への連続関数とすると、$I$の$n$分割 $\{ x^n_k \}$ に対し、
\begin{equation*}
S_n = \sum_{k=0}^{n-1} f(\xi^n_k) \Delta x^n_k
\end{equation*}
で定まるリーマン和の $n \to \infty$ の極限が$f$の$I$における積分値、すなわち
\begin{equation}
\int_a^b f(x) dx = \lim_{n \to \infty} S_n = \lim_{n \to \infty} \sum_{k=0}^{n-1} f(\xi^n_k) \Delta x^n_k
\end{equation}
となるのでした。従って超準解析における数列の収束条件より、
\begin{equation}
\int_a^b f(x) dx = \mathrm{st} \left( \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi^n_k) \Delta x^n_k \right) \quad \mathrm{for} \ n \in {}^*\mathbb{N}_\infty
\end{equation}
が成り立ちます。これが*有限和による積分の表現です。

 以下、積分に関する基本的な性質を、*有限和の性質を用いることによって導いていきます。$n$をある無限大超自然数として固定し、見やすさのため右上添字の$n$を省略すると、上の積分の表現より
\begin{equation}
\int_a^b f(x) dx \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi_k) \Delta x_k \tag{2}
\end{equation}
が成り立ちます。ここで $\xi_k$ は $x_k$ や $x_{k+1}$ に置き換えても構いません。

 まず、補題を3つ示しておきます。

【補題1】$a,b \in \mathbb{R}, \ a < b$ とし、$n \in \mathbb{N}$ に対して \begin{equation*} \Delta x^n = \frac{b - a}{n} \end{equation*} とおく。また $m,k$ を添字とする実数値をとる二重数列 $\{ p^m_k \}, \ \{ q^m_k \}$ を考える。このときある無限大超自然数$m$をとり、この$m$に対して \begin{equation*} \forall k \in {}^*\mathbb{N} \, (0 \le k \le n - 1 \to p^m_k \approx q^m_k) \end{equation*} となるならば( $p^m_k, q^m_k \in {}^*\mathbb{R}$ となることに注意)、 \begin{equation} \sum_{k=0}^{n-1} p^m_k \Delta x^n \approx \sum_{k=0}^{n-1} q^m_k \Delta x^n \tag{3} \end{equation} が成り立つ。ここで$n \in \mathbb{N}$は無限大でも有限でもよい。

(証明)無限大超自然数$m$をとり、
\begin{equation*}
\mu = \max_{0 \le k \le n - 1} \left| p^m_k - q^m_k \right|
\end{equation*}
とおく。移行原理より$m$が無限大超自然数のときにもこの最大値は存在し、仮定より $\mu \approx 0$ となるから、
\begin{equation*}
\left| \sum_{k=0}^{n-1} p^m_k \Delta x^n - \sum_{k=0}^{n-1} q^m_k \Delta x^n \right| \le \sum_{k=0}^{n-1} \left| p^m_k - q^m_k \right| \Delta x^n \le n \mu \frac{b - a}{n} = \mu (b - a) \approx 0
\end{equation*}
となって$(3)$が成り立つ。□

【補題2】$f$を$\mathbb{R}$上の有界閉区間 $I=[a,b]$ で定義された連続的微分可能関数とすると、 \begin{equation*} a \le x < y \le b \ \land \ x \approx y \ \land \ x \le z \le y \end{equation*} をみたす任意の超実数$x,y,z$に対して、 \begin{equation} \label{equ:無限小の勾配} \frac{{}^*f(y)-{}^*f(x)}{y-x} \approx {}^*f'(z) \end{equation} が成り立つ。

(証明)平均値の定理と移行原理より、
\begin{equation*}
{}^*f(y)-{}^*f(x) = {}^*f'(\eta)(y-x) \land x < \eta < y
\end{equation*}
をみたす超実数$\eta$がある。$x \approx y$ より $\eta \approx z$ で、$f'$が連続であることより ${}^*f'(\eta) \approx {}^*f'(z)$ となるから、
\begin{equation*}
\frac{{}^*f(y)-{}^*f(x)}{y-x} = {}^*f'(\eta) \approx {}^*f'(z)
\end{equation*}
となる。□

【補題3】$f,g$を$\mathbb{R}$上の有界閉区間 $I=[a,b]$ で定義された実関数とし、$f$は連続、$g$は連続的微分可能とする。また$n$は無限大超自然数とし、 \begin{equation} x_k = a + \frac{k(b - a)}{n} \quad (0 \le k \le n), \quad \Delta x = \frac{b - a}{n} \tag{4} \end{equation} とする(等幅$n$分割)。また、 \begin{equation*} x_k \le \xi_k \le x_{k+1} \quad (0 \le k \le n - 1) \end{equation*} とする。このとき、 \begin{equation} \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi_k) ({}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)) \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(x_k) {}^*g'(x_k) \Delta x \tag{5} \end{equation} が成り立つ。

(証明)【補題2】より $0 \le k \le n - 1$ ならば
\begin{equation*}
\frac{{}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)}{\Delta x} \approx {}^*g'(x_k)
\end{equation*}
また区間$I$において$f$は連続だから有界、従って ${}^*f(\xi_k)$ は各$k$( $0 \le k \le n - 1$ )に対して有限となり、
\begin{equation*}
{}^*f(\xi_k) \frac{{}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)}{\Delta x} \approx {}^*f(\xi_k) {}^*g'(x_k)
\end{equation*}
この両辺は$n$をパラメーターにもち、$n$は無限大超自然数だから、【補題1】で $m=n$ とすることにより
\begin{equation*}
\sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi_k) ({}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)) = \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi_k)
\frac{{}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)}{\Delta x} \Delta x \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi_k) {}^*g'(x_k) \Delta x
\end{equation*}
が成り立つ。同様に$f$の連続性から、$0 \le k \le n - 1$ に対して
\begin{equation*}
{}^*f(\xi_k) \approx {}^*f(x_k)
\end{equation*}
が成り立ち、また 区間$I$において$g'$ は連続だから有界。従って
\begin{equation*}
{}^*f(\xi_k) {}^*g'(x_k) \approx {}^*f(x_k) {}^*g'(x_k)
\end{equation*}
であるから、同様に【補題1】を用いると、
\begin{equation*}
\sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi_k) {}^*g'(x_k) \Delta x \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(x_k) {}^*g'(x_k) \Delta x
\end{equation*}
が成り立ち、合わせると$(5)$が成り立つ。□

 この補題を用いると、積分に関する各性質を*有限和とのアナロジーによって示すことができます。

【定理4】(微分と積分の関係) $f$は区間 $I=[a,b]$ 上で定義された実関数で、$I$上で連続的微分可能とする。このとき、 \begin{equation} f(b) - f(a) = \int_a^b f'(x) dx \tag{6} \end{equation} が成り立つ。

(証明)$n$を無限大超自然数とし、$\{ x_k \}$ と $\Delta x$ を$(4)$によって等幅$n$分割として定める。
\begin{equation}
f(b) - f(a) = \sum_{k=0}^{n-1} ({}^*f(x_{k+1}) - {}^*f(x_k)) \tag{7}
\end{equation}
が成り立つが、この右辺は【補題3】において、$f$を値$1$をとる定数関数とし、$g$を$f$とおくことによって、
\begin{equation*}
\sum_{k=0}^{n-1} ({}^*f(x_{k+1}) - {}^*f(x_k)) \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f'(x_k) \Delta x
\end{equation*}
となり、さらに右辺は$(2)$によって
\begin{equation*}
\sum_{k=0}^{n-1} {}^*f'(x_k) \Delta x \approx \int_a^b f'(x) dx
\end{equation*}
であるから、結局
\begin{equation*}
f(b) - f(a) \approx \int_a^b f'(x) dx
\end{equation*}
が得られ、両辺とも実数だから等号が成立する。□

【定理5】(部分積分公式) $f,g$は区間 $I=[a,b]$ 上で定義された実関数で、共に$I$上で連続的微分可能とする。このとき、 \begin{equation} \int_a^b f'(x)g(x) dx = f(b)g(b)-f(a)g(a) - \int_a^b f(x)g'(x) dx \tag{8} \end{equation}

(証明)$n$を無限大超自然数とし、$\{ x_k \}$ と $\Delta x$ を$(4)$によって等幅$n$分割として定める。
\begin{equation}
\sum_{k=0}^{n-1} ({}^*f(x_{k+1}) - {}^*f(x_k)) {}^*g(x_k) = f(b)g(b) - f(a)g(a) - \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(x_{k+1})({}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)) \tag{9}
\end{equation}
が成り立つが、この左辺は【補題3】によって
\begin{equation*}
\sum_{k=0}^{n-1} ({}^*f(x_{k+1}) - {}^*f(x_k)) {}^*g(x_k) \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f'(x_k) {}^*g(x_k) \Delta x
\end{equation*}
であり、右辺も同様に
\begin{equation*}
f(b)g(b) - f(a)g(a) - \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(x_{k+1})({}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)) \approx f(b)g(b) - f(a)g(a) - \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(x_{k}) {}^*g'(x_k) \Delta x
\end{equation*}
である。これと$(2)$によって
\begin{equation*}
\int_a^b f'(x)g(x) dx \approx f(b)g(b) - f(a)g(a) - \int_a^b f(x)g'(x) dx
\end{equation*}
が得られ、両辺とも実数だから等号が成立する。□

【定理6】(置換積分公式) $f$は区間 $I=[a,b]$ 上で定義された実関数で連続、$g$は区間 $J=[c,d]$ 上で定義された実関数で連続的微分可能、かつ狭義単調増加で $g(c)=a, \ g(d)=b$ とする。このとき、 \begin{equation} \int_a^b f(x) dx = \int_c^d f(g(t))g'(t) dt \tag{10} \end{equation}

(証明)$n$を無限大超自然数とし、$\{ t_k \}$ と $\Delta t$ を$(4)$と同様に区間$J$の等幅$n$分割として定める。
\begin{equation*}
x_k = {}^*g(t_k)
\end{equation*}
とすると、$\{ x_k \}$ は区間$I$の(等幅とは限らない)$n$分割で、$g$が連続だから$(1)$の条件もみたされる。
\begin{equation}
\sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(x_k)(x_{k+1} - x_k) = \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f({}^*g(t_k))({}^*g(t_{k+1}) - {}^*g(t_k)) \tag{11}
\end{equation}
が成り立つが、この右辺は【補題3】によって
\begin{equation*}
\sum_{k=0}^{n-1} {}^*f({}^*g(t_k))({}^*g(t_{k+1}) - {}^*g(t_k)) \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f({}^*g(t_k)){}^*g'(t_k) \Delta t
\end{equation*}
であり、これと$(2)$によって
\begin{equation*}
\int_a^b f(x) dx \approx \int_c^d f(g(t))g'(t) dt
\end{equation*}
が得られ、両辺とも実数だから等号が成立する。□

 $(7)$が$(6)$の、$(9)$が$(8)$の、$(11)$が$(10)$の、それぞれ*有限和でのアナロジーになっていることがわかります。

(続く)(前記事)(目次)

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わかってない奴がわかったつもりで書き留める超準解析(その14) [数学]

【超準解析について生半可な知識しかない僕が、わかったつもりの内容をちょっとずつ書き留めていきます。不正確な内容や誤りもあることをご承知ください。】

(14) 超有理数から導くp進数とp進展開

 第12回の記事で超有理数体を用いて$p$進数体 $\mathbb{Q}_p$ を構成する方法に触れました。今回はそこを若干突っ込んで、任意の$p$進数が$p$進展開できることを超有理数を利用して証明します。

(ちょっと弁解:今回の議論はあまり突っ込みすぎると「超有理数の*有限和」という概念に至ってしまい、それについては僕自身十分に理解していません。ですので今回はそこはちょっと逃げて、あくまで普通の「有限和」の範囲でできる議論にとどめます。その意味で今回の記事はかなり中途半端です。そろそろ「わかってない奴」の馬脚が現れてきましたw)

 全体を通じて、$p$はある固定された素数(普通の自然数の素数)とします。この$p$に対して$p$進絶対値と呼ぶ$\mathbb{Q}$上の1変数関数を次で定義します。

【定義】$x \in \mathbb{Q}$ に対し、次によって$p$進絶対値 $\left| x \right|_p$ を定める。
(1) $x \neq 0$ のとき、 \[ \exists ! n \in \mathbb{Z} \, \exists a,b \in \mathbb{Z} \, ( x = p^n \cdot \frac{a}{b} \land p \nmid a \land p \nmid b) \] が成り立つので、これをみたす$n$を用いて $\left| x \right|_p = p^{-n}$ と定める。
(2) $x = 0$ のとき $\left| x \right|_p = 0$ と定める。

 このとき、$p$進絶対値は次の性質をみたします(証明省略)。

[$p$進絶対値の性質]
 ① $\left| x \right|_p \ge 0 \land ( \left| x \right|_p = 0 \leftrightarrow x = 0 )$
 ② $\left| xy \right|_p = \left| x \right|_p \left| y \right|_p$
 ③ $\left| x+y \right|_p \le \mathrm{max} \{ \left| x \right|_p , \left| y \right|_p \} \le \left| x \right|_p + \left| y \right|_p$

 この絶対値を用いて$\mathbb{Q}$を完備化した体 $\mathbb{Q}_p$ を$p$進数体と呼ぶことは第12回で触れたとおりです。ここでは $\mathbb{Q}_p$ は第12回の方法で超有理数体を用いて構成されたものとします。

 さて、整数環$\mathbb{Z}$において「$a$が$b$を割り切る」という関係 $a \mid b$ は、一階の論理式で
\[ a \mid b \quad \Leftrightarrow \quad \exists c \, (ac = b) \]
のように表されます。従ってこの関係は超整数環${}^*\mathbb{Z}$まで拡大できて、${}^*\mid$ を同じ記号 $\mid$ で表すと${}^*\mathbb{Z}$においても同様に、
\[ a \mid b \quad \Leftrightarrow \quad \exists c \, (ac = b) \]
が成り立ちます。本記事では${}^*\mathbb{Z}$におけるこの関係も「$a$が$b$を割り切る」ということにします。否定 $\nmid$ についても同様です。

 同様に、「$a$を正数$b$で割ると余り$d$が得られて $0 \le d < b$ が成り立つ」という$\mathbb{Z}$における定理は、
\[ \forall a,b \, (b > 0 \to \exists c,d \, (a = bc + d \land 0 \le d < b)) \]
と一階の論理式で表されるので、移行原理より${}^*\mathbb{Z}$においてもこれが成り立ちます。このように$\mathbb{Z}$で成り立つ初等整数論の多くの結果が、移行原理を適切に用いることにより${}^*\mathbb{Z}$においても成り立ちますので、本記事の議論ではこれらを断りなしに用いることにします。

 ${}^*\mathbb{Q}$における$p$進絶対値($\mathbb{Q}$における$p$進絶対値の超準拡大)は、移行原理より$\mathbb{Q}$における定義の$\mathbb{Z}$を${}^*\mathbb{Z}$に置き換えたものに一致します。またこのとき、$p$進絶対値の性質もそのまま成り立ちます。

 次の補題は普通の$p$進数体の議論で使われるものですが、${}^*\mathbb{Q}$においても全く同様に成立し、証明も同じ方法で行えます。

【補題1】$x \in {}^*\mathbb{Q}, \ \left| x \right| _p \le 1$ ならば、任意の自然数$n$ に対して $n+1$ 個の$p$未満の自然数 $a_0, a_1 \cdots a_n$ が存在して、 \[ \left| x - \sum^n_{k=0} a_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \] とすることができる。

(証明)$x=0$ ならば明らかだから、以下 $x \ne 0$ とする。仮定 $\left| x \right| _p \le 1$ より、ある $b,c \in {}^*\mathbb{Z} \setminus \{ 0 \}$ があって
\[ x = b/c \land p \nmid c \]
とすることができる。$p$は素数だから$p$と$c$は互いに素であり、よってある $q,r \in {}^*\mathbb{Z}$ があって
\[ qc + rp = 1 \]
とすることができる。$b = xc$ より、
\[ x - qb = x(1 - qc) = xrp \]
であるから、$\left| x \right| _p \le 1$ より
\[ \left| x-qb \right| _p = \left| x \right| _p \left| rp \right| _p \le p^{-1} \]
となる。ここで、ある $s,a_0 \in {}^*\mathbb{Z}$ があって
\[ qb = sp + a_0 \land 0 \le a_0 < p \]
とすることができ、このとき $a_0$ は$p$未満の自然数である。これと$p$進絶対値の性質③を用いると、
\[ \left| x-a_0 \right| _p = \left| x-qb+sp \right| _p \le \max \{ \left| x-qb \right| _p, \left| sp \right| _p \} \le p^{-1} \]
となるから、証明すべき結論の $n=0$ の場合
\[ \left| x-a_0 \right| _p \le p^{-1} \]
が得られる。
 次に、$n$のときに結論が成立すると仮定する。すなわち$p$未満の自然数 $a_0, a_1 \cdots a_n$ が存在して、
\[ \left| x - \sum^n_{k=0} a_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \]
であるとする。このとき、
\[ \left| p^{-n-1} (x - \sum^n_{k=0} a_kp^k) \right|_p \le 1 \]
であるので、先ほどの結果を用いると、ある$p$未満の自然数 $a_{n+1}$ が存在して
\[ \left| p^{-n-1} (x - \sum^n_{k=0} a_kp^k) - a_{n+1} \right| _p \le p^{-1} \]
となり、これより
\[ \left| x - \sum^{n+1}_{k=0} a_kp^k \right| _p = p^{-(n+1)} \left| p^{-n-1} (x - \sum^n_{k=0} a_kp^k) - a_{n+1} \right| _p \le p^{-(n+1)-1} \]
が得られる。従って $n+1$ のときにも結論が成立し、数学的帰納法により証明は完了した。□

【補題2】$x \in {}^*\mathbb{Q}$ かつ $\left| x \right| _p$ が有限超実数ならば、任意の自然数$n$に対して、ある自然数$m$と $m+n+1$ 個の$p$未満の自然数 $a_{-m}, \cdots ,a_0, \cdots ,a_n$ が存在して、 \[ \left| x - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \tag{1} \] とすることができる。さらにこの形の有限和は一意に定まる。

(証明)$\left| x \right|_p$ が有限超実数だから、自然数$m$を十分大きくとれば $\left| x \right|_p \le p^m$ であり、これより $\left| p^mx \right|_p = p^{-m} \left| x \right|_p\le 1$ である。よって【補題1】より $m+n+1$ 個の$p$未満の自然数 $a_{-m}, \cdots ,a_0, \cdots ,a_n$ が存在して、
\[ \left| p^mx - \sum^{m+n}_{k=0} a_{k-m}p^k \right|_p \le p^{-(m+n)-1} \]
とすることができ、これより
\[ p^{-m} \left| x - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p \le p^{-m}p^{-n-1} \]
となるから$(1)$が得られる。これで存在性が証明できた。
 一意性を示すため、ある $x \in {}^*\mathbb{Q}$ と自然数$n$に対し、
\[ \left| x - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \land \left| x - \sum^n_{k=-m} b_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \]
をみたす自然数$m$と $(m+n+1) \times 2$ 個の$p$未満の自然数 $a_{-m}, \cdots ,a_0, \cdots ,a_n, b_{-m}, \cdots ,b_0, \cdots ,b_n$ が存在すると仮定する($m$は十分大きくとることにより共通としてよい)。$p$進絶対値の性質③は ${}^*\mathbb{Q}$ においても成り立つから、
\[ \left| \sum^n_{k=-m} (a_k - b_k)p^k \right|_p \le \max \left\{ \left| x - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p , \left| x - \sum^n_{k=-m} b_kp^k \right|_p \right\} \le p^{-n-1} \]
が成り立つ。このときもしある $k \ (-m \le k \le n)$ に対して $a_k \neq b_k$ ならば、そのような$k$のうち最小のものを$k_0$とすると、
\[ \left| \sum^n_{k=k_0} (a_k - b_k)p^k \right|_p \le p^{-n-1} \]
であり、左辺の絶対値の中は
\[ \sum^n_{k=k_0} (a_k - b_k)p^k = p^{k_0}( (a_{k_0} - b_{k_0}) + \sum^{n-k_0}_{k=1} (a_{k-k_0} - b_{k-k_0})p^k) \]
と表される。$-p < a_{k_0} - b_{k_0} < p \land a_{k_0} - b_{k_0} \neq 0$ だから、
\[ p \nmid ( (a_{k_0} - b_{k_0}) + \sum^{n-k_0}_{k=1} (a_{k-k_0} - b_{k-k_0})p^k) \]
であり、従って
\[ \left| \sum^n_{k=k_0} (a_k - b_k)p^k \right|_p = p^{-k_0} \le p^{-n-1} \]
となり、これから $-k_0 \le -n-1$ すなわち $k_0 \ge n+1$ が従うが、これは $-m \le k_0 \le n$ と矛盾する。よってすべての $k \ (-m \le k \le n)$ に対して $a_k = b_k$ が成り立ち、従って$(1)$をみたす有限和は一意に定まる。□

 ${}^*\mathbb{Q}$におけるこれらの補題を用いると、$\mathbb{Q}_p$における$p$進展開の存在と一意性が示されます。

【定理3】任意の $x \in \mathbb{Q}_p$ と自然数$n$に対し、ある自然数$m$と $m+n+1$ 個の$p$未満の自然数 $a_{-m}, \cdots ,a_0, \cdots ,a_n$ が存在して、 \[ \left| x - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \tag{2} \] とすることができる。さらにこの形の有限和は一意に定まる。

(証明)第12回の記号を用いて $x = [y] \ (y \in {}^*\mathbb{Q})$ とする。このとき第12回【補題1】より $\left| y \right|_p$ は有限超実数だから、【補題2】よりある自然数$m$と $m+n+1$ 個の$p$未満の自然数 $a_{-m}, \cdots ,a_0, \cdots ,a_n$ が存在して、
\[ \left| y - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \]
をみたし、
\[ \left| x - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p = \mathrm{st} \left( \left| y - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p \right) \le p^{-n-1} \]
であるから$(2)$が成り立つ。一意性も【補題2】から従う。□

 この定理によって、任意の $x \in \mathbb{Q}_p$ は$(2)$の形の有限和で$p$進距離の意味でいくらでも高精度に近似でき、従って$n$を無限に大きくしたときに定まる次の形の無限級数
\[ \sum^\infty_{k=-m} a_kp^k \]
は$p$進距離の意味で$x$に収束します。この無限級数は$x$の$p$進展開とよばれ、任意の$p$進数は一意的に$p$進展開できるということになります。

(続く)(前記事)(目次)

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