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わかってない奴がわかったつもりで書き留める超準解析(その1) [数学]

【超準解析について生半可な知識しかない僕が、わかったつもりの内容をちょっとずつ書き留めていきます。不正確な内容や誤りもあることをご承知ください。】

 数学の知識をある程度つけた者が、超実数の世界では無限小やら無限大やらが自由に扱えることを知って、なんか面白いと思って超準解析をテキストでちゃんと勉強しようとします。するとそこには「ツェルメロ宇宙」やら「上部構造」やらのいきなり小難しい概念から始まるので、そこで萎えてしまうこともあろうかと思います。ここではもう少し簡単に、一般に数学モデルにはそれを拡大した「超準モデル」が存在することを説明し、それを実数体に適用することで「超実数体」が得られる、そして「移行原理」を駆使することで様々な性質が導ける、という順序で超準解析のサワリを紹介します。


(1) 超準モデルについて

 一般に$X$を空でない集合とし、$R$を$X$上の2項関係すなわち $R \subseteq X^2$ とします。これらの対 $\langle X,R \rangle$ に対していくつかの公理系を与えると、それは一つの数学のモデルになります。$R$が3項以上の多項関係だったり、またそれらが複数個あったりしても以下の議論は同様に進められますが、簡単のためにここでは1つの2項関係だけのモデルを考えます。

 例えば、述語記号$\le$を含む公理系$T$として
 ① $\forall x \, (x \le x)$
 ② $\forall x,y \, (x \le y \land y \le x \to x=y)$
 ③ $\forall x,y,z \, (x \le y \land y \le z \to x \le z)$
を考えます。変数$x,y,z$を集合$X$の要素とし、述語記号$\le$を関係$R$で解釈したときに、$T$の公理①〜③がすべて成り立つならば、
\[ \langle X,R \rangle \models T \]
と書いて、$\langle X,R \rangle$ は$T$のモデルであるといいます。この例では $\langle X,R \rangle$ は(半)順序集合と呼ばれます。$T$の公理がすべて一階述語論理の論理式(以下「一階の論理式」といいます)になっていることに注意してください。

 ここでもし$X$が無限集合ならば、それを真に拡大する集合${}^*X$と、関係$R$を拡大する${}^*X$上の2項関係${}^*R$の組で、任意に与えられた一階の論理式$\varphi$に対して、
\[ \langle X,R \rangle \models \varphi \quad \Leftrightarrow \quad \langle {}^*X,{}^*R \rangle \models \varphi \]
が常に成り立つようなものが存在します。この ${}^*X,{}^*R$ をそれぞれ $X,R$ の超準拡大といいます。また上記の関係(一階の論理式の真偽が常に一致すること)を移行原理といいます。

 先述の例で $\langle X,R \rangle$ が順序集合ならば、上記の$T$の公理は全て $\langle {}^*X,{}^*R \rangle$ でも成立しますので、$\langle {}^*X,{}^*R \rangle$ も順序集合になります。$\langle X,R \rangle$ を$T$の「標準モデル」と呼ぶならば、それに対する $\langle {}^*X,{}^*R \rangle$ は$T$の「超準モデル」と呼ばれます。

 要約すると「無限集合を領域にもつどんなモデルにもそれを真に拡大する超準モデルが存在する」ということです。このことの証明はまた別記事で書くことにして、いまはまずこれを認めて先へ進みます。

 さて、$R$は簡単のために2項関係としましたが、先ほども述べたように$R$は3項以上の多項関係でも、逆に1項関係でも同じことが成り立ちます。$R$が1項関係のときは $R \subseteq X$ すなわち$R$は$X$の部分集合になり、$\langle x \rangle$ が関係$R$を満たすことは $x \in R$ を意味します。このことを任意にとった$X$の部分集合 $A,B,C$ に対して適用すると、これらの超準拡大 ${}^*A,{}^*B,{}^*C$ が存在し、$\langle X,A,B,C \rangle$ と $\langle {}^*X,{}^*A,{}^*B,{}^*C \rangle$ との間で移行原理が使えますので、次のような論法が成立します。

 $C=A \cup B$ とする。これは論理式で書くと、
\[ \forall x \in X \, (x \in C \leftrightarrow x \in A \lor x \in B) \]
のことである。すると移行原理によって
\[ \forall x \in {}^*X \, (x \in {}^*C \leftrightarrow x \in {}^*A \lor x \in {}^*B) \]
となるから、${}^*C={}^*A \cup {}^*B$ すなわち
\[ {}^*(A \cup B) = {}^*A \cup {}^*B \]
が成り立つ。□

 同じ論法を用いることにより、
\[
{}^*(A \cap B) = {}^*A \cap {}^*B \\
{}^*(A \setminus B) = {}^*A \setminus {}^*B \\
A \subseteq B \Leftrightarrow {}^*A \subseteq {}^*B \\
{}^*(A \times B) = {}^*A \times {}^*B
\]
などが示されます(最後の式は $A \times B$ を$X$上の2項関係とみなすことで得られます)。

 もう一つ、$X$上の関数についても超準拡大を考えることができます。なぜなら関数とは関係の特別なものとみなせるからです。簡単のために$f$を$X$上の1変数関数とすると、これは$X$上の2項関係であって、関数であるための条件
\[ \forall x,y,z \in X \, ( \langle x,y \rangle \in f \land \langle x,z \rangle \in f \to y=z ) \]
をみたします。すると$f$の超準拡大${}^*f$が存在して、移行原理より、
\[ \forall x,y,z \in {}^*X \, ( \langle x,y \rangle \in {}^*f \land \langle x,z \rangle \in {}^*f \to y=z ) \]
が成り立ちますから、${}^*f$は${}^*X$上の1変数関数になります。多変数関数でも全く同様です。
 関数の合成に関して、
\[ {}^*(g \circ f) = {}^*g \circ {}^*f \]
が成り立つことも、移行原理を用いると簡単に示すことができます。

 ここまで一般論を書きました。次はこれを実数体に適用することによって「超実数体」の議論に移ります。

(続く)(目次)

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