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わかってない奴がわかったつもりで書き留める超準解析(その10) [数学]

【超準解析について生半可な知識しかない僕が、わかったつもりの内容をちょっとずつ書き留めていきます。不正確な内容や誤りもあることをご承知ください。】

(10) アスコリ・アルツェラの定理

 今回も2つの距離空間 $\langle X,d_X \rangle$ と $\langle Y,d_Y \rangle$ とその超準モデルを考えます。今回の目標は表題の定理を証明することです。
 $\{ f_n \}$ を$X$の部分集合$A$から$Y$への関数列とします。アスコリ・アルツェラの定理の一つの形は次のようになります。

【定理1】$A$および$Y$がともにコンパクト、かつ $\{ f_n \}$ が$A$上で同程度連続ならば、$\{f_n\}$ は一様収束する部分列をもつ。

(アスコリ・アルツェラの定理として値域が$\mathbb{R}$のときに「一様有界」を仮定に入れた形をよく目にしますが、$\mathbb{R}$の有界閉区間はコンパクトなので【定理1】の特別な場合になっています。)

 この仮定に登場する、関数列 $\{ f_n \}$ が$A$の点$x$で同程度連続とは、
\[ \forall \epsilon \in \mathbb{R}^+ \, \exists \delta \in \mathbb{R}^+ \, \forall n \in \mathbb{N} \, \forall y \in A \, (d_X(x,y) < \delta \to d_Y(f_n(x),f_n(y)) < \epsilon) \tag{1} \]
となることをいいます。$A$の任意の点で同程度連続のときは$A$上で同程度連続といいます。【定理1】を証明するために、この同程度連続という概念を超準モデル上の同値条件で表すことを考えます。

【定理2】$\{ f_n \}$ が $A$の点$x$で同程度連続であることと、 \[ \forall n \in {}^*\mathbb{N} \, \forall y \in {}^*A \, (x \approx y \to {}^*f_n(x) \approx {}^*f_n(y)) \tag{2} \] が成り立つことは同値である。

(証明)第9回【定理1】の証明とほとんど同様の手法である。まず $\{ f_n \}$ が $x \in A$ で同程度連続ならば、$(1)$と移行原理より任意の正実数$\epsilon$に対して正実数$\delta$がとれて、
\[ \forall n \in {}^*\mathbb{N} \, \forall y \in {}^*A \, ({}^*d_X(x,y) < \delta \to {}^*d_Y({}^*f_n(x),{}^*f_n(y)) < \epsilon) \tag{3} \]
とすることができる。従っていつもの考察によって$(2)$が導かれる。
 逆も同様なので省略する。□

(この定理は一様収束に関する第9回【定理1】と非常によく似ていますが、それは当然であって、同程度連続とは $y \to x$ のとき$n$に関して一様収束することに他ならないからです。)

 上の証明の副産物として得られた式$(3)$を用いると、次の補題が示されます。

【補題3】$\{f_n\}$ が$A$上で同程度連続で、ある $n \in {}^*\mathbb{N}_\infty$ についてすべての $x \in A$ に対する ${}^*f_n(x)$ が近標準点ならば、 \[ f_\infty(x) = \mathrm{st}({}^*f_n(x)) \] によって定まる$A$から$Y$への関数$f_\infty$は$A$上で連続である。

(証明)仮定をみたす $n \in {}^*\mathbb{N}_\infty$ と任意の $x \in A$ をとる。$\{f_n\}$ が$A$上で同程度連続だから、任意の正実数$\epsilon$に対して正実数$\delta$がとれて、$(3)$より
\[ \forall y \in {}^*A \, ({}^*d_X(x,y) < \delta \to {}^*d_Y({}^*f_n(x),{}^*f_n(y)) < \epsilon /2) \]
が成り立つようにできる。従って $d_X(x,y) < \delta$ をみたす任意の $y \in A$ に対して、
\[ d_Y(f_\infty(x), f_\infty(y)) \le {}^*d_Y({}^*f_n(x), f_\infty(x)) + {}^*d_Y({}^*f_n(x), {}^*f_n(y)) + {}^*d_Y({}^*f_n(y), f_\infty(y)) \le \epsilon /2 < \epsilon \]
となる。これは$f_\infty$が$x$で連続であることを意味する。□

 ちょっと脱線しますが、この補題から直ちに次が導かれます。

【定理4】$\{f_n\}$ が$A$上で同程度連続かつ$f_\infty$に(各点)収束するならば、$f_\infty$は$A$上で連続である。

(証明)収束の仮定より、任意の $n \in {}^*\mathbb{N}_\infty$ と $x \in A$ について $f_\infty(x) = \mathrm{st}({}^*f_n(x))$ であるから、【補題3】より明らか。□

 では、準備ができたので、本題のアスコリ・アルツェラの定理の証明に移ります。コンパクト性の同値条件については第8回【定理3】を思い出してください。

【定理1】の証明)ある $n \in {}^*\mathbb{N}_\infty$ をとって固定する。$Y$がコンパクトだから任意の $x \in A$ に対して ${}^*f_n(x)$ は近標準点、よって
\[ f_\infty(x) = \mathrm{st}({}^*f_n(x)) \]
によって$A$から$Y$への関数$f_\infty$を定めることができ、【補題3】より$f_\infty$は$A$上で連続である。任意に $y \in {}^*A$ をとると、$A$がコンパクトだから $x = \mathrm{st}(y) \in A$ がとれ、$f_\infty$の連続性より $f_\infty(x) \approx {}^*f_\infty(y)$ である。さらに $\{f_n\}$ の同程度連続性と【定理2】より ${}^*f_n(x) \approx {}^*f_n(y)$ であり、当然 ${}^*f_n(x) \approx f_\infty(x)$ だから、
\[ {}^*f_n(y) \approx {}^*f_n(x) \approx f_\infty(x) \approx {}^*f_\infty(y) \]
より ${}^*f_n(y) \approx {}^*f_\infty(y)$ となる。$y \in {}^*A$ は任意だから第9回の表の3列目にある同値条件より、$\{f_n\}$ のある部分列が$f_\infty$に一様収束する。□

 これまでの結果を組み合わせることによって、簡単に証明することができました。
 これも証明を図解すると次のようになるでしょうか。

20190803超準解析でやさしく解く関数列の定理(ブログ用修正).002.jpeg

(続く)(前記事)(目次)


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