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わかってない奴がわかったつもりで書き留める超準解析(その15) [数学]

【超準解析について生半可な知識しかない僕が、わかったつもりの内容をちょっとずつ書き留めていきます。不正確な内容や誤りもあることをご承知ください。】

(15) 積分と*有限和

 今回は超準解析による積分を扱います。とはいっても生半可な知識しかないので、連続な実関数のリーマン積分だけを対象とします。超準解析を使うと、積分が第5回の記事で紹介した「*有限和」で表され、基本的な公式が*有限和を用いて導かれることが今回の内容です。
(第5回では*有限和を極めて適当にしか紹介していませんが、今回はその適当な範囲でしか用いないので大丈夫?です。)

 $\mathbb{R}$上の有界閉区間 $I=[a,b]$ に対して、次の性質をみたす$\mathbb{N}^2$から$\mathbb{R}$への関数$x$を考えます。
\begin{equation*}
\forall n \in \mathbb{N} \, (a = x(0,n) < x(1,n) < \cdots < x(n,n) = b)
\end{equation*}
 本記事ではこのような二重数列$x$に対し、$x(k,n) = x^n_k$ とかくことにします(ここで右上添字は冪乗を意味しません)。$n$を固定して $0 \le k \le n$ の範囲だけをとった数列 $\{ x^n_k \}$ を「区間$I$の$n$分割」と呼ぶこととします。$x$の超準拡大${}^*x$が考えられますが、これについても同様に ${}^*x(k,n) = x^n_k$ とかきます(アスタリスクは省略)。さらに $0 \le k \le n - 1$ をみたす$k$に対し、
\begin{equation}
\Delta x^n_k = x^n_{k+1} - x^n_k
\end{equation}
と定めます。このとき次の条件を仮定します。
\begin{equation}
\lim_{n \to \infty} \max_{0 \le k \le n - 1} \Delta x^n_k = 0 \tag{1}
\end{equation}
つまり分割の幅は$n$に伴い無限に小さくなるという条件です。これは超準解析における数列の収束条件より、次と同じになります。
\begin{equation}
\forall n \in {}^*\mathbb{N}_\infty \, \forall k < n \, (\Delta x^n_k \approx 0)
\end{equation}
特に、
\begin{equation*}
x^n_k = a + \frac{k(b - a)}{n}
\end{equation*}
で定まる $\{ x^n_k \}$ は区間$I$の等幅$n$分割と呼ばれ、その区間幅は
\begin{equation*}
\Delta x^n_k = \frac{b - a}{n}
\end{equation*}
と$k$に無関係となり、$(1)$の条件もみたされます。
 また、別の$\mathbb{N}^2$から$\mathbb{R}$への関数$\xi$(これも $\xi(n,k)=\xi^n_k$ とかきます)を、次の性質をみたすようにとります。
\begin{equation*}
\forall n,k \in \mathbb{N} \, (0 \le k \le n - 1 \to x^n_k \le \xi^n_k \le x^n_{k+1})
\end{equation*}
 ここで、$f$を区間$I$から$\mathbb{R}$への連続関数とすると、$I$の$n$分割 $\{ x^n_k \}$ に対し、
\begin{equation*}
S_n = \sum_{k=0}^{n-1} f(\xi^n_k) \Delta x^n_k
\end{equation*}
で定まるリーマン和の $n \to \infty$ の極限が$f$の$I$における積分値、すなわち
\begin{equation}
\int_a^b f(x) dx = \lim_{n \to \infty} S_n = \lim_{n \to \infty} \sum_{k=0}^{n-1} f(\xi^n_k) \Delta x^n_k
\end{equation}
となるのでした。従って超準解析における数列の収束条件より、
\begin{equation}
\int_a^b f(x) dx = \mathrm{st} \left( \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi^n_k) \Delta x^n_k \right) \quad \mathrm{for} \ n \in {}^*\mathbb{N}_\infty
\end{equation}
が成り立ちます。これが*有限和による積分の表現です。

 以下、積分に関する基本的な性質を、*有限和の性質を用いることによって導いていきます。$n$をある無限大超自然数として固定し、見やすさのため右上添字の$n$を省略すると、上の積分の表現より
\begin{equation}
\int_a^b f(x) dx \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi_k) \Delta x_k \tag{2}
\end{equation}
が成り立ちます。ここで $\xi_k$ は $x_k$ や $x_{k+1}$ に置き換えても構いません。

 まず、補題を3つ示しておきます。

【補題1】$a,b \in \mathbb{R}, \ a < b$ とし、$n \in \mathbb{N}$ に対して \begin{equation*} \Delta x^n = \frac{b - a}{n} \end{equation*} とおく。また $m,k$ を添字とする実数値をとる二重数列 $\{ p^m_k \}, \ \{ q^m_k \}$ を考える。このときある無限大超自然数$m$をとり、この$m$に対して \begin{equation*} \forall k \in {}^*\mathbb{N} \, (0 \le k \le n - 1 \to p^m_k \approx q^m_k) \end{equation*} となるならば( $p^m_k, q^m_k \in {}^*\mathbb{R}$ となることに注意)、 \begin{equation} \sum_{k=0}^{n-1} p^m_k \Delta x^n \approx \sum_{k=0}^{n-1} q^m_k \Delta x^n \tag{3} \end{equation} が成り立つ。ここで$n \in \mathbb{N}$は無限大でも有限でもよい。

(証明)無限大超自然数$m$をとり、
\begin{equation*}
\mu = \max_{0 \le k \le n - 1} \left| p^m_k - q^m_k \right|
\end{equation*}
とおく。移行原理より$m$が無限大超自然数のときにもこの最大値は存在し、仮定より $\mu \approx 0$ となるから、
\begin{equation*}
\left| \sum_{k=0}^{n-1} p^m_k \Delta x^n - \sum_{k=0}^{n-1} q^m_k \Delta x^n \right| \le \sum_{k=0}^{n-1} \left| p^m_k - q^m_k \right| \Delta x^n \le n \mu \frac{b - a}{n} = \mu (b - a) \approx 0
\end{equation*}
となって$(3)$が成り立つ。□

【補題2】$f$を$\mathbb{R}$上の有界閉区間 $I=[a,b]$ で定義された連続的微分可能関数とすると、 \begin{equation*} a \le x < y \le b \ \land \ x \approx y \ \land \ x \le z \le y \end{equation*} をみたす任意の超実数$x,y,z$に対して、 \begin{equation} \label{equ:無限小の勾配} \frac{{}^*f(y)-{}^*f(x)}{y-x} \approx {}^*f'(z) \end{equation} が成り立つ。

(証明)平均値の定理と移行原理より、
\begin{equation*}
{}^*f(y)-{}^*f(x) = {}^*f'(\eta)(y-x) \land x < \eta < y
\end{equation*}
をみたす超実数$\eta$がある。$x \approx y$ より $\eta \approx z$ で、$f'$が連続であることより ${}^*f'(\eta) \approx {}^*f'(z)$ となるから、
\begin{equation*}
\frac{{}^*f(y)-{}^*f(x)}{y-x} = {}^*f'(\eta) \approx {}^*f'(z)
\end{equation*}
となる。□

【補題3】$f,g$を$\mathbb{R}$上の有界閉区間 $I=[a,b]$ で定義された実関数とし、$f$は連続、$g$は連続的微分可能とする。また$n$は無限大超自然数とし、 \begin{equation} x_k = a + \frac{k(b - a)}{n} \quad (0 \le k \le n), \quad \Delta x = \frac{b - a}{n} \tag{4} \end{equation} とする(等幅$n$分割)。また、 \begin{equation*} x_k \le \xi_k \le x_{k+1} \quad (0 \le k \le n - 1) \end{equation*} とする。このとき、 \begin{equation} \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi_k) ({}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)) \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(x_k) {}^*g'(x_k) \Delta x \tag{5} \end{equation} が成り立つ。

(証明)【補題2】より $0 \le k \le n - 1$ ならば
\begin{equation*}
\frac{{}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)}{\Delta x} \approx {}^*g'(x_k)
\end{equation*}
また区間$I$において$f$は連続だから有界、従って ${}^*f(\xi_k)$ は各$k$( $0 \le k \le n - 1$ )に対して有限となり、
\begin{equation*}
{}^*f(\xi_k) \frac{{}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)}{\Delta x} \approx {}^*f(\xi_k) {}^*g'(x_k)
\end{equation*}
この両辺は$n$をパラメーターにもち、$n$は無限大超自然数だから、【補題1】で $m=n$ とすることにより
\begin{equation*}
\sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi_k) ({}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)) = \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi_k)
\frac{{}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)}{\Delta x} \Delta x \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi_k) {}^*g'(x_k) \Delta x
\end{equation*}
が成り立つ。同様に$f$の連続性から、$0 \le k \le n - 1$ に対して
\begin{equation*}
{}^*f(\xi_k) \approx {}^*f(x_k)
\end{equation*}
が成り立ち、また 区間$I$において$g'$ は連続だから有界。従って
\begin{equation*}
{}^*f(\xi_k) {}^*g'(x_k) \approx {}^*f(x_k) {}^*g'(x_k)
\end{equation*}
であるから、同様に【補題1】を用いると、
\begin{equation*}
\sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(\xi_k) {}^*g'(x_k) \Delta x \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(x_k) {}^*g'(x_k) \Delta x
\end{equation*}
が成り立ち、合わせると$(5)$が成り立つ。□

 この補題を用いると、積分に関する各性質を*有限和とのアナロジーによって示すことができます。

【定理4】(微分と積分の関係) $f$は区間 $I=[a,b]$ 上で定義された実関数で、$I$上で連続的微分可能とする。このとき、 \begin{equation} f(b) - f(a) = \int_a^b f'(x) dx \tag{6} \end{equation} が成り立つ。

(証明)$n$を無限大超自然数とし、$\{ x_k \}$ と $\Delta x$ を$(4)$によって等幅$n$分割として定める。
\begin{equation}
f(b) - f(a) = \sum_{k=0}^{n-1} ({}^*f(x_{k+1}) - {}^*f(x_k)) \tag{7}
\end{equation}
が成り立つが、この右辺は【補題3】において、$f$を値$1$をとる定数関数とし、$g$を$f$とおくことによって、
\begin{equation*}
\sum_{k=0}^{n-1} ({}^*f(x_{k+1}) - {}^*f(x_k)) \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f'(x_k) \Delta x
\end{equation*}
となり、さらに右辺は$(2)$によって
\begin{equation*}
\sum_{k=0}^{n-1} {}^*f'(x_k) \Delta x \approx \int_a^b f'(x) dx
\end{equation*}
であるから、結局
\begin{equation*}
f(b) - f(a) \approx \int_a^b f'(x) dx
\end{equation*}
が得られ、両辺とも実数だから等号が成立する。□

【定理5】(部分積分公式) $f,g$は区間 $I=[a,b]$ 上で定義された実関数で、共に$I$上で連続的微分可能とする。このとき、 \begin{equation} \int_a^b f'(x)g(x) dx = f(b)g(b)-f(a)g(a) - \int_a^b f(x)g'(x) dx \tag{8} \end{equation}

(証明)$n$を無限大超自然数とし、$\{ x_k \}$ と $\Delta x$ を$(4)$によって等幅$n$分割として定める。
\begin{equation}
\sum_{k=0}^{n-1} ({}^*f(x_{k+1}) - {}^*f(x_k)) {}^*g(x_k) = f(b)g(b) - f(a)g(a) - \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(x_{k+1})({}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)) \tag{9}
\end{equation}
が成り立つが、この左辺は【補題3】によって
\begin{equation*}
\sum_{k=0}^{n-1} ({}^*f(x_{k+1}) - {}^*f(x_k)) {}^*g(x_k) \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f'(x_k) {}^*g(x_k) \Delta x
\end{equation*}
であり、右辺も同様に
\begin{equation*}
f(b)g(b) - f(a)g(a) - \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(x_{k+1})({}^*g(x_{k+1}) - {}^*g(x_k)) \approx f(b)g(b) - f(a)g(a) - \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(x_{k}) {}^*g'(x_k) \Delta x
\end{equation*}
である。これと$(2)$によって
\begin{equation*}
\int_a^b f'(x)g(x) dx \approx f(b)g(b) - f(a)g(a) - \int_a^b f(x)g'(x) dx
\end{equation*}
が得られ、両辺とも実数だから等号が成立する。□

【定理6】(置換積分公式) $f$は区間 $I=[a,b]$ 上で定義された実関数で連続、$g$は区間 $J=[c,d]$ 上で定義された実関数で連続的微分可能、かつ狭義単調増加で $g(c)=a, \ g(d)=b$ とする。このとき、 \begin{equation} \int_a^b f(x) dx = \int_c^d f(g(t))g'(t) dt \tag{10} \end{equation}

(証明)$n$を無限大超自然数とし、$\{ t_k \}$ と $\Delta t$ を$(4)$と同様に区間$J$の等幅$n$分割として定める。
\begin{equation*}
x_k = {}^*g(t_k)
\end{equation*}
とすると、$\{ x_k \}$ は区間$I$の(等幅とは限らない)$n$分割で、$g$が連続だから$(1)$の条件もみたされる。
\begin{equation}
\sum_{k=0}^{n-1} {}^*f(x_k)(x_{k+1} - x_k) = \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f({}^*g(t_k))({}^*g(t_{k+1}) - {}^*g(t_k)) \tag{11}
\end{equation}
が成り立つが、この右辺は【補題3】によって
\begin{equation*}
\sum_{k=0}^{n-1} {}^*f({}^*g(t_k))({}^*g(t_{k+1}) - {}^*g(t_k)) \approx \sum_{k=0}^{n-1} {}^*f({}^*g(t_k)){}^*g'(t_k) \Delta t
\end{equation*}
であり、これと$(2)$によって
\begin{equation*}
\int_a^b f(x) dx \approx \int_c^d f(g(t))g'(t) dt
\end{equation*}
が得られ、両辺とも実数だから等号が成立する。□

 $(7)$が$(6)$の、$(9)$が$(8)$の、$(11)$が$(10)$の、それぞれ*有限和でのアナロジーになっていることがわかります。

(続く)(前記事)(目次)

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