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「ぼくのかんがえたさいきょうの実数論」発表レポート [数学]

 先日大阪で行われた「第6回関西日曜数学友の会」で、タイトルの5分間発表をしました。その内容をここで紹介します。
 なお、発表では証明はすべて省略しましたが、本記事の最後に証明集へのリンクを掲載しましたので、興味のある方はご覧ください。

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 タイトルスライドです。本当は僕のオリジナルではなく、自分で考えたのは事実ですが、南雲道夫という数学者の方が戦前に既にこの内容で論文を出しておられたことを後から知りました。

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 本発表の動機をつらつらと書いております。深く取らないでほしいです。

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 実数とは本来「量」から考えられたものという立場にたって、「量」とはなんなのかということを数学的にとらえてみました。天秤棒で塩を量り売りするいにしえの塩売りだって、「量」のこういう性質を認識していたに違いありません(彼にとって量は商売の根幹ですから)。これを「正の量の公理系」として、このあとは数学の考察になります。
 なお、塩売りのマンガは僕のオリジナルです。自由に使って結構です。

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 塩売りは量が「連続性」をもつなんて考えていなかったと思いますが、アルキメデス性は認識していたと思われます。アルキメデス性をもつ量の空間を理想的に拡大したら、それは「連続性」をもつ量の空間になります。ここがデデキントさんによる偉大な発見の部分です。

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 量を「○倍する」という概念が実数である、という考え方をすると、量の空間上の自己準同型写像というアイデアに行き着きます。そこでこれを正の実数の定義とします。和、積、および順序は自然に定まります。

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 自己準同型写像を正実数と定義すると、ここまではスルスルと面白いように導出されます。強調したいのは、積は写像の合成で定義しましたので、積の結合則は自明ですが交換則は決して自明には出てこない、ということです。

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 スライドの上部に書かれた3つの定理を証明すると、正実数の残りの性質が導かれます。この3つの定理は意外と証明が面倒です。特に3つめの定理は、量と実数との本質的な関係を表したものになっています。
 正実数の性質がわかれば、それを元に実数全体を構成することは、半環から環を作るという一般的な手法で行えます。

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 まとめのスライドです。実数の積の交換則が自明でないことを再度強調しました。また南雲さんのことにも最後に触れました。

 以上の発表内容に関わる一連の証明はここにPDFで載せてあります。きちんと書き出すと結構長いものになりました。

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