鉄オタ必見映画「北国の帝王」

　70年代に作られたこの映画は、僕が子供の頃に見た映画の中で、妙に印象に残っているものの一つです。

　小学生のとき、近所の映画館で「海底２万マイル」という有名な冒険小説をもとにした映画が上映されていたので、母につれられて見に行ったのですが、その時二本立てで同時上映されていたのがこれ。
　大きな機関車の描かれたポスターが印象的だったので、「これも見ようよ」といやがる母を説得して見てみたら・・・

　1930年代の大恐慌時代のアメリカ合衆国オレゴン州。
　森林地帯を蒸気機関車に引かれて悠然と走る貨物列車。
　その貨物列車にタダ乗りして移動する「ホーボー」と呼ばれる浮浪者たち。
　彼らホーボーを見つけると容赦なくハンマーで殴り殺す鬼車掌シャック。
　そのシャックの列車にタダ乗りを挑む伝説のホーボー、Aナンバーワン。
　かくして、貨物列車の前や後ろや上や下で、シャックとAナンバーワンの血みどろの戦いが繰り広げられるのであった・・・

　大興奮して見終わった僕の横で、母はひとこと、
「なんでこんな映画見なあかんの？」
　悪いけど僕は海底２万マイルなんかよりこっちの方がよっぽど面白かった。

　この映画が最近DVDで出たので、もう一度見ることができました。ストーリーはだいぶ忘れてたけど、各シーンは断片的に覚えてたので、「おお、こんなんやったこんなんやった」と一人で大喜びしました。
　いいねえ、こんなどうでもいいことに命をかける話って。
　ホーボーもそうだけど、最底辺の鉄道員たちがまた荒んでいるのなんの。
　目ん玉の飛び出しそうなシャックの強烈な顔は、印象に残っていたとおりでした。

監督：ロバート・アルドリッチ
出演：リー・マーヴィン（Aナンバーワン）
　　　アーネスト・ボーグナイン（シャック）

　鉄オタにぜひ勧めたい映画です。SLの走る姿もとても美しいです。