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わかってない奴がわかったつもりで書き留める超準解析(その14) [数学]

【超準解析について生半可な知識しかない僕が、わかったつもりの内容をちょっとずつ書き留めていきます。不正確な内容や誤りもあることをご承知ください。】

(14) 超有理数から導くp進数とp進展開

 第12回の記事で超有理数体を用いて$p$進数体 $\mathbb{Q}_p$ を構成する方法に触れました。今回はそこを若干突っ込んで、任意の$p$進数が$p$進展開できることを超有理数を利用して証明します。

(ちょっと弁解:今回の議論はあまり突っ込みすぎると「超有理数の*有限和」という概念に至ってしまい、それについては僕自身十分に理解していません。ですので今回はそこはちょっと逃げて、あくまで普通の「有限和」の範囲でできる議論にとどめます。その意味で今回の記事はかなり中途半端です。そろそろ「わかってない奴」の馬脚が現れてきましたw)

 全体を通じて、$p$はある固定された素数(普通の自然数の素数)とします。この$p$に対して$p$進絶対値と呼ぶ$\mathbb{Q}$上の1変数関数を次で定義します。

【定義】$x \in \mathbb{Q}$ に対し、次によって$p$進絶対値 $\left| x \right|_p$ を定める。
(1) $x \neq 0$ のとき、 \[ \exists ! n \in \mathbb{Z} \, \exists a,b \in \mathbb{Z} \, ( x = p^n \cdot \frac{a}{b} \land p \nmid a \land p \nmid b) \] が成り立つので、これをみたす$n$を用いて $\left| x \right|_p = p^{-n}$ と定める。
(2) $x = 0$ のとき $\left| x \right|_p = 0$ と定める。

 このとき、$p$進絶対値は次の性質をみたします(証明省略)。

[$p$進絶対値の性質]
 ① $\left| x \right|_p \ge 0 \land ( \left| x \right|_p = 0 \leftrightarrow x = 0 )$
 ② $\left| xy \right|_p = \left| x \right|_p \left| y \right|_p$
 ③ $\left| x+y \right|_p \le \mathrm{max} \{ \left| x \right|_p , \left| y \right|_p \} \le \left| x \right|_p + \left| y \right|_p$

 この絶対値を用いて$\mathbb{Q}$を完備化した体 $\mathbb{Q}_p$ を$p$進数体と呼ぶことは第12回で触れたとおりです。ここでは $\mathbb{Q}_p$ は第12回の方法で超有理数体を用いて構成されたものとします。

 さて、整数環$\mathbb{Z}$において「$a$が$b$を割り切る」という関係 $a \mid b$ は、一階の論理式で
\[ a \mid b \quad \Leftrightarrow \quad \exists c \, (ac = b) \]
のように表されます。従ってこの関係は超整数環${}^*\mathbb{Z}$まで拡大できて、${}^*\mid$ を同じ記号 $\mid$ で表すと${}^*\mathbb{Z}$においても同様に、
\[ a \mid b \quad \Leftrightarrow \quad \exists c \, (ac = b) \]
が成り立ちます。本記事では${}^*\mathbb{Z}$におけるこの関係も「$a$が$b$を割り切る」ということにします。否定 $\nmid$ についても同様です。

 同様に、「$a$を正数$b$で割ると余り$d$が得られて $0 \le d < b$ が成り立つ」という$\mathbb{Z}$における定理は、
\[ \forall a,b \, (b > 0 \to \exists c,d \, (a = bc + d \land 0 \le d < b)) \]
と一階の論理式で表されるので、移行原理より${}^*\mathbb{Z}$においてもこれが成り立ちます。このように$\mathbb{Z}$で成り立つ初等整数論の多くの結果が、移行原理を適切に用いることにより${}^*\mathbb{Z}$においても成り立ちますので、本記事の議論ではこれらを断りなしに用いることにします。

 ${}^*\mathbb{Q}$における$p$進絶対値($\mathbb{Q}$における$p$進絶対値の超準拡大)は、移行原理より$\mathbb{Q}$における定義の$\mathbb{Z}$を${}^*\mathbb{Z}$に置き換えたものに一致します。またこのとき、$p$進絶対値の性質もそのまま成り立ちます。

 次の補題は普通の$p$進数体の議論で使われるものですが、${}^*\mathbb{Q}$においても全く同様に成立し、証明も同じ方法で行えます。

【補題1】$x \in {}^*\mathbb{Q}, \ \left| x \right| _p \le 1$ ならば、任意の自然数$n$ に対して $n+1$ 個の$p$未満の自然数 $a_0, a_1 \cdots a_n$ が存在して、 \[ \left| x - \sum^n_{k=0} a_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \] とすることができる。

(証明)$x=0$ ならば明らかだから、以下 $x \ne 0$ とする。仮定 $\left| x \right| _p \le 1$ より、ある $b,c \in {}^*\mathbb{Z} \setminus \{ 0 \}$ があって
\[ x = b/c \land p \nmid c \]
とすることができる。$p$は素数だから$p$と$c$は互いに素であり、よってある $q,r \in {}^*\mathbb{Z}$ があって
\[ qc + rp = 1 \]
とすることができる。$b = xc$ より、
\[ x - qb = x(1 - qc) = xrp \]
であるから、$\left| x \right| _p \le 1$ より
\[ \left| x-qb \right| _p = \left| x \right| _p \left| rp \right| _p \le p^{-1} \]
となる。ここで、ある $s,a_0 \in {}^*\mathbb{Z}$ があって
\[ qb = sp + a_0 \land 0 \le a_0 < p \]
とすることができ、このとき $a_0$ は$p$未満の自然数である。これと$p$進絶対値の性質③を用いると、
\[ \left| x-a_0 \right| _p = \left| x-qb+sp \right| _p \le \max \{ \left| x-qb \right| _p, \left| sp \right| _p \} \le p^{-1} \]
となるから、証明すべき結論の $n=0$ の場合
\[ \left| x-a_0 \right| _p \le p^{-1} \]
が得られる。
 次に、$n$のときに結論が成立すると仮定する。すなわち$p$未満の自然数 $a_0, a_1 \cdots a_n$ が存在して、
\[ \left| x - \sum^n_{k=0} a_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \]
であるとする。このとき、
\[ \left| p^{-n-1} (x - \sum^n_{k=0} a_kp^k) \right|_p \le 1 \]
であるので、先ほどの結果を用いると、ある$p$未満の自然数 $a_{n+1}$ が存在して
\[ \left| p^{-n-1} (x - \sum^n_{k=0} a_kp^k) - a_{n+1} \right| _p \le p^{-1} \]
となり、これより
\[ \left| x - \sum^{n+1}_{k=0} a_kp^k \right| _p = p^{-(n+1)} \left| p^{-n-1} (x - \sum^n_{k=0} a_kp^k) - a_{n+1} \right| _p \le p^{-(n+1)-1} \]
が得られる。従って $n+1$ のときにも結論が成立し、数学的帰納法により証明は完了した。□

【補題2】$x \in {}^*\mathbb{Q}$ かつ $\left| x \right| _p$ が有限超実数ならば、任意の自然数$n$に対して、ある自然数$m$と $m+n+1$ 個の$p$未満の自然数 $a_{-m}, \cdots ,a_0, \cdots ,a_n$ が存在して、 \[ \left| x - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \tag{1} \] とすることができる。さらにこの形の有限和は一意に定まる。

(証明)$\left| x \right|_p$ が有限超実数だから、自然数$m$を十分大きくとれば $\left| x \right|_p \le p^m$ であり、これより $\left| p^mx \right|_p = p^{-m} \left| x \right|_p\le 1$ である。よって【補題1】より $m+n+1$ 個の$p$未満の自然数 $a_{-m}, \cdots ,a_0, \cdots ,a_n$ が存在して、
\[ \left| p^mx - \sum^{m+n}_{k=0} a_{k-m}p^k \right|_p \le p^{-(m+n)-1} \]
とすることができ、これより
\[ p^{-m} \left| x - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p \le p^{-m}p^{-n-1} \]
となるから$(1)$が得られる。これで存在性が証明できた。
 一意性を示すため、ある $x \in {}^*\mathbb{Q}$ と自然数$n$に対し、
\[ \left| x - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \land \left| x - \sum^n_{k=-m} b_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \]
をみたす自然数$m$と $(m+n+1) \times 2$ 個の$p$未満の自然数 $a_{-m}, \cdots ,a_0, \cdots ,a_n, b_{-m}, \cdots ,b_0, \cdots ,b_n$ が存在すると仮定する($m$は十分大きくとることにより共通としてよい)。$p$進絶対値の性質③は ${}^*\mathbb{Q}$ においても成り立つから、
\[ \left| \sum^n_{k=-m} (a_k - b_k)p^k \right|_p \le \max \left\{ \left| x - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p , \left| x - \sum^n_{k=-m} b_kp^k \right|_p \right\} \le p^{-n-1} \]
が成り立つ。このときもしある $k \ (-m \le k \le n)$ に対して $a_k \neq b_k$ ならば、そのような$k$のうち最小のものを$k_0$とすると、
\[ \left| \sum^n_{k=k_0} (a_k - b_k)p^k \right|_p \le p^{-n-1} \]
であり、左辺の絶対値の中は
\[ \sum^n_{k=k_0} (a_k - b_k)p^k = p^{k_0}( (a_{k_0} - b_{k_0}) + \sum^{n-k_0}_{k=1} (a_{k-k_0} - b_{k-k_0})p^k) \]
と表される。$-p < a_{k_0} - b_{k_0} < p \land a_{k_0} - b_{k_0} \neq 0$ だから、
\[ p \nmid ( (a_{k_0} - b_{k_0}) + \sum^{n-k_0}_{k=1} (a_{k-k_0} - b_{k-k_0})p^k) \]
であり、従って
\[ \left| \sum^n_{k=k_0} (a_k - b_k)p^k \right|_p = p^{-k_0} \le p^{-n-1} \]
となり、これから $-k_0 \le -n-1$ すなわち $k_0 \ge n+1$ が従うが、これは $-m \le k_0 \le n$ と矛盾する。よってすべての $k \ (-m \le k \le n)$ に対して $a_k = b_k$ が成り立ち、従って$(1)$をみたす有限和は一意に定まる。□

 ${}^*\mathbb{Q}$におけるこれらの補題を用いると、$\mathbb{Q}_p$における$p$進展開の存在と一意性が示されます。

【定理3】任意の $x \in \mathbb{Q}_p$ と自然数$n$に対し、ある自然数$m$と $m+n+1$ 個の$p$未満の自然数 $a_{-m}, \cdots ,a_0, \cdots ,a_n$ が存在して、 \[ \left| x - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \tag{2} \] とすることができる。さらにこの形の有限和は一意に定まる。

(証明)第12回の記号を用いて $x = [y] \ (y \in {}^*\mathbb{Q})$ とする。このとき第12回【補題1】より $\left| y \right|_p$ は有限超実数だから、【補題2】よりある自然数$m$と $m+n+1$ 個の$p$未満の自然数 $a_{-m}, \cdots ,a_0, \cdots ,a_n$ が存在して、
\[ \left| y - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p \le p^{-n-1} \]
をみたし、
\[ \left| x - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p = \mathrm{st} \left( \left| y - \sum^n_{k=-m} a_kp^k \right|_p \right) \le p^{-n-1} \]
であるから$(2)$が成り立つ。一意性も【補題2】から従う。□

 この定理によって、任意の $x \in \mathbb{Q}_p$ は$(2)$の形の有限和で$p$進距離の意味でいくらでも高精度に近似でき、従って$n$を無限に大きくしたときに定まる次の形の無限級数
\[ \sum^\infty_{k=-m} a_kp^k \]
は$p$進距離の意味で$x$に収束します。この無限級数は$x$の$p$進展開とよばれ、任意の$p$進数は一意的に$p$進展開できるということになります。

(続く)(前記事)(目次)

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鳥羽市営「かもめバス」で志摩の海を見渡す展望台と漁港めぐり [バス]

 盆休みに入った暑い日、やはりこの時期は青い海を見たくなります。
 というわけで、鳥羽市内の志摩半島に行ってきました。



(位置情報がうまく取れなくてワープしている箇所がありますがご愛嬌に。)

 この地域には鳥羽市営の「かもめバス」が運行されています(とはいえ見かけは全く三重交通のバスです)。このうち、土休日のみ海を見渡せる鳥羽展望台へ立ち寄る路線が走っていますので、この路線を使って志摩半島の漁村地帯をぐるっと巡ってくることにしました。

 鳥羽バスセンターは鳥羽駅直結の土産物センターと一体となった便利なバスターミナルです。

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 志摩半島方面各地へは「かもめバス」の路線になります。

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 ここの窓口で、かもめバスの1日周遊券が1000円で購入できます。ぐるっと周遊するなら断然お得で便利なので購入します。

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 本浦、石鏡、鳥羽展望台を経由して、相差の先の畔蛸口まで行くバスに乗ります。この路線は平日は石鏡港までしか行かず、鳥羽展望台へ行くのは土休日だけです。

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 この日は観光客が結構乗っており、小型のバスなので立ち客もかなり出ました。
 海沿いの景色のいい道路を、本浦、石鏡といった漁港や観光施設に立ち寄りながら走ります。

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 パールロードの途中にある鳥羽展望台で下車します。ここは土休日のみ一日数本の運行です。

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 鳥羽駅では小雨が降っていて心配しましたがすっかり晴れ渡り、青く広がる太平洋(フィリピン海)が一望できました。

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 展望レストランもあります。海鮮メニューが充実していましたがやや高めだったので、ここではコーヒーだけで我慢しました。

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 約1時間後に来た南方向へ行くバスに乗り、国崎(くざき)で途中下車します。

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 次のバスまで2時間ほど国崎で過ごすのですが、この漁港は食堂も喫茶店もなく(食堂が1軒だけありましたが準備中でした)、戸外で過ごすしかありません。でも海の方にいくと灯台があり、そこの日陰で海を眺めながらボーッと快適に時間をつぶすことができました。

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 食事のおいしそうな旅館はいくつかあるものの、閉鎖された旅館がそのままになってたりして、ひなびた雰囲気が好きな人にはおすすめの漁港です。

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 またバスに乗り、狭い道を少し走って、相差(おうさつ)で下車します。
 こっちは国崎に比べるとずっと賑やかな観光地です。

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 ここでようやく昼飯にありつけました。展望台よりもずっとリーズナブルな値段のお造り定食です。

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 港を眺め、カフェでアイスコーヒーを飲んで、ちょうどいい時間が過ごせました。
 また2時間後のバスに乗って鳥羽駅へ向かいます。

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 途中で近鉄の松尾駅を通ったので、バスを降りて電車に乗り換えることにしました。バスでそのまま鳥羽まで行ける(1日乗車券なのでその方が安い)のですが、やっぱりちょっとは電車にも乗っておきたいという気持ちに逆らえませんでした。

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 青く綺麗な海を見ながら海岸部をバスで一周し、途中3箇所も下車して時間をつぶして、おいしい食事もできるという、日帰り路線バス旅としてはかなり充実した一日でした。

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