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「路線バス歩き」のすすめ(目次) [バス]

 見知らぬ場所も見知った場所も、路線バスで訪れるとまた新たな景色が見えてきます。
 意外といろんな場所に路線バスで行けて、地点間をバスと徒歩で通り抜ける充実感も味わえます。

 このページは僕の路線バス乗車コレクションの目次として作りました。興味があれば各ページを訪問してみてください。

能勢から亀岡へバスで小旅行(2010年8月)
兵庫県→大阪府→京都府 阪急バス、亀岡市コミュニティーバス、京阪京都交通

晩秋の妙見山(2010年12月)
大阪府→兵庫県→大阪府 阪急バス

海南から高野山へ マイナー路線バスの旅(2013年10月)
和歌山県 大十バス

八木〜十津川〜新宮 日本一の一般路線バスをICカードで乗り通す(2013年8月)
奈良県→和歌山県 奈良交通

大阪市東住吉区赤バス代替路線 日本城バス西田辺〜針中野~瓜破西(2014年12月)
大阪府 日本城バス

石山寺〜大石〜宇治田原〜宇治 秋のお茶の里バス散歩(2015年10月)
滋賀県→京都府 京阪バス、京都京阪バス

大阪府最南端の町をコミュニティバスで横断(2015年12月)
大阪府 岬町コミュニティーバス

岡山・旭川沿いをコミュニティーバス乗継で南下(2016年5月)
岡山県 真庭市コミュニティーバス、御津・建部コミュニティーバス

園部〜福知山 国道9号線沿いの山中を走るJRバス(2016年9月)
京都府 西日本JRバス

岡山南部 旧児島湾を囲んでバス乗り継ぎ(2016年9月)
岡山県 両備バス、下津井バス

旧花園村から高野山へ裏口からのバスアプローチ(2016年10月)
和歌山県 かつらぎ町コミュニティーバス、有田鉄道

高野・熊野アクセスバスで紅葉と温泉を堪能(2016年11月)
和歌山県 南海りんかんバス、龍神バス

八尾市内 廃止間近の近鉄バス2路線に名残の乗車(2016年12月)
大阪府 近鉄バス

奈良市北東部の山の中を笠置の手前までバスで行く(2017年5月)
奈良県 奈良交通

岐阜県〜三重県 鈴鹿山麓の県境越えルートをバスで乗り継ぎ(2017年8月)
岐阜県→三重県 名阪近鉄バス、いなべ市コミュニティーバス

福知山線から加古川線へ 北播磨の田園地帯を神姫バスで結ぶ(2017年8月)
兵庫県 神姫バス

備前市から瀬戸内市へ ブルーラインと漁港巡りの路線バス旅(2017年9月)
岡山県 備前市コミュニティーバス、東備バス

志摩半島南部の海岸沿いをバスで横断(廃線跡探訪つき)(2017年10月)
三重県 三重交通、南伊勢町コミュニティーバス

和泉山脈の北麓を南海バスの乗継ぎで辿る(2017年12月)
大阪府 南海バス

「和泉市・かつらぎ町広域観光路線バス実証実験」に乗車(2017年12月)
和歌山県→大阪府 和歌山バス那賀

阪急バスでぐるっと冬の能勢町めぐり(2018年2月)
大阪府→兵庫県→大阪府→兵庫県 阪急バス

片方向のみ1日2本 信楽への細いバスの道(2018年4月)
滋賀県 帝産バス

3セク鉄道が結ぶ播磨の北条町をバスで行き帰り(2018年4月)
兵庫県 神姫バス

紀州の白い岬を目指して中紀バスで海岸巡り(2018年5月)
和歌山県 中紀バス

左京区から右京区へ 京都市内山間部のバス巡り(2018年7月)
京都府 京都バス、京北ふるさとバス、西日本JRバス

三重県〜岐阜県〜愛知県 木曽三川をコミュニティーバスと徒歩で越える(2018年7月)
三重県→岐阜県→愛知県 桑名市コミュニティーバス、愛西市コミュニティーバス

佐久から諏訪へ 中山道と白樺湖・霧ヶ峰を結ぶ路線バスの旅(2018年8月)
長野県 千曲バス、立科町コミュニティーバス、アルピコ交通

鉄道のない岐阜市北部郊外をバスで周回(2018年8月)
岐阜県 岐阜バス

伊賀から奈良へ 大和高原をバスと徒歩で東西横断(2018年10月)
三重県→奈良県 三重交通、奈良交通

山が色づく吉備高原を路線バスで通り抜ける(2018年11月)
岡山県 中鉄バス、備北バス

7年後には万博会場 風吹き抜ける大阪夢洲を北港観光の路線バスで行く(2018年12月)
大阪府 北港観光バス

大阪〜和歌山府県境を2つのバス路線で往復(2018年12月)
大阪府→和歌山県→大阪府 和歌山バス那賀

木曽三川の輪中地帯を海を目指してコミュニティーバスで縦断(2019年3月)
岐阜県→愛知県→三重県 名阪近鉄バス、海津市コミュニティーバス、桑名市コミュニティーバス、三重交通

春の近江路 GW限定パスで乗り放題の一日(2019年4月)
滋賀県 近江鉄道バス、湖国バス

高知県北部 早明浦ダムと吉野川上流沿いを謎の路線バスで行く(2019年5月)
高知県 とさでん交通、嶺北観光自動車、県交北部交通

鳥羽市営「かもめバス」で志摩の海を見渡す展望台と漁港めぐり(2019年8月)
三重県 鳥羽市営バス

秋の丹後半島をバス乗り継ぎ600円で一周(2019年10月)
京都府 丹後海陸交通

晩秋の北摂山間部を神姫バスと阪急バスで一巡り(2019年12月)
兵庫県 神姫バス、阪急バス

DMV工事中の阿佐海岸鉄道とバスで室戸岬めぐり(2020年1月)
高知県 高知東部交通

京都市バスのプチ迷走路線(2020年7月)
京都府 京都市交通局

ニュータウンの狭間の旧集落を縫って南海バスで走る(2020年8月)
大阪府 南海バス

住宅地域に平日1日1往復 京阪バスの超閑散路線に乗っておく(2020年8月)
大阪府 京阪バス

休日にも乗れる!朝宮経由のコミュニティバスでふたたび信楽へ(2020年9月)
滋賀県 京阪バス、甲賀市コミュニティバス

人のいないニュータウンで乗り継ぎ 奈良盆地の初秋バス旅(2020年10月)
奈良県 奈良交通

紅葉の比良山系裏手を廃止予定バス路線で辿る(2020年11月)
滋賀県 江若交通、高島市営バス

紅葉の奥三河から南信州にコミュニティーバスで抜ける(2020年11月)
愛知県→長野県 とよたおいでんバス、稲武地域バス、西部コミュニティバス

南河内の行き止まり集落に2Wayアクセスの金剛バスで訪問(2021年3月)
大阪府 金剛自動車

平日のみ運行のバス乗り継ぎで桜満開の和歌山県を縦断(2021年3月)
和歌山県 有田鉄道、田辺市住民バス、龍神自動車

雨の飛鳥路を閑散運行路線バスで通り抜ける(2021年8月)
奈良県 奈良交通

堺市の都市と田園の狭間を閑散路線で西から東に横断(2021年9月)
大阪府 南海バス

休日限定の「芦有バス」で紅葉の六甲山地を横断(2021年11月)
兵庫県 阪急バス

鞆鉄道バスで行く鞆の浦と海岸巡り(2021年12月)
広島県 鞆鉄道

松原市北部で新設ショッピングモール路線とコミュニティー路線巡り(2022年1月)
大阪府 近鉄バス、北港観光バス

春間近の姫路近郊を無計画の神姫バス巡り(2022年3月)
兵庫県 神姫バス、ウエスト神姫

呉から江田島までバスと徒歩で島伝い(2022年5月)
広島県 広電バス、呉市生活バス、江田島バス

絶景の橋を渡る角島への路線バスの旅(2022年6月)
山口県 ブルーライン交通

奈良盆地の鉄道空白地帯を広陵町コミュニティバスで縦断(2022年9月)
奈良県 広陵町コミュニティバス

北摂から秋の丹波路へ路線バス乗り継ぎで向かう(2022年10月)
大阪府→京都府 阪急バス、京阪京都交通

冬の東吉野村を奈良交通とコミュニティバスで通り抜ける(2022年12月)
奈良県 奈良交通、東吉野村コミュニティバス、川上村コミュニティバス

天理〜上野市 今月限りの名阪国道バス乗り継ぎ(2023年3月)
奈良県→三重県→奈良県→三重県 奈良交通、三重交通、山添村コミュニティバス

近江八幡〜三雲 春の湖南路をバスと徒歩で結ぶ(2023年4月)
滋賀県 近江鉄道、湖南市コミュニティバス

河内平野を南北に縦断 分断間近の通貫路線を乗り通す(2023年4月)
大阪府 近鉄バス

呉から福山まで瀬戸内の島づたいにほぼバスで横断する(2023年4月)
広島県→愛媛県→広島県 瀬戸内産交、瀬戸内海交通、しまなみリーディング

吉野から熊野へ大峰山東側ルートをコミュニティバスで抜ける(2023年6月)
奈良県→和歌山県→三重県 南部地域連携コミュニティバス、下北山村営バス、熊野市営バス

志賀高原から軽井沢へ 観光ゴールデンルートを路線バスで行く(2023年9月)
長野県→群馬県→長野県 長電バス、JRバス関東、西武観光バス

さよなら金剛バス 葛城山を下り水越峠からの金剛バスに名残の乗車(2023年11月)
奈良県→大阪府 奈良交通、金剛自動車

神戸市の町外れを走る神姫バス3路線に乗る(2023年12月)
兵庫県 神姫バス

京都から大津へ「山中越」をバス乗り継ぎで走破(2024年3月)
京都府→滋賀県 京阪バス

札沼線廃止区間から石狩平野をバスで走る(2024年4月)
北海道石狩振興局→空知総合振興局 札沼線バス月形当別線、北海道中央バス


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わかってない奴がわかったつもりで書き留める超準解析(その8) [数学]

【超準解析について生半可な知識しかない僕が、わかったつもりの内容をちょっとずつ書き留めていきます。不正確な内容や誤りもあることをご承知ください。】

(8) 全有界+完備 ⇔ コンパクト

 今回も前回につづき、距離空間$X$とその超準モデル${}^*X$を対象とします。
 今回の目的は、タイトルにある定理を超準モデルを用いて証明することです。そのために「全有界」「完備」「コンパクト」のそれぞれの概念が次表に示す同値条件で表されることを証明します。$A$は$X$の部分集合、$\mathbb{R}^+$は正実数の全体とします。

距離空間上の概念 超準モデル上の同値条件
$A$が全有界 $\forall y \in {}^*A \, \forall \epsilon \in \mathbb{R}^+ \, \exists x \in A \, ({}^*d(y,x) < \epsilon )$
$A$が完備 $\forall y \in {}^*A \, (\forall \epsilon \in \mathbb{R}^+ \, \exists x \in A \, ({}^*d(y,x) < \epsilon ) \to \exists x \in A \, (y \approx x)) $
$A$がコンパクト $\forall y \in {}^*A \, \exists x \in A \, (y \approx x)$


 一見複雑なようですが、これらの式を上から順に$(1),(2),(3)$としましょう。各式には全体に $\forall y \in {}^*A$ がかかっているので、これを取り除きます。すると$(2)$の式は $(1) \to (3)$ と同じになっていることがわかります。さらに$(3)$から$(1)$が従うことは「無限に近い」ことの定義から明らかです。これらより、
\[ (1) \land ( \ (1) \to (3) \ ) \Leftrightarrow (3) \]
すなわち
\[ (1) \land (2) \Leftrightarrow (3) \]
となるので、タイトルの関係が成立することがこれで示されたことになります。

 それでは、各概念が超準モデル上の同値条件で表されることを順に証明していきます。まず、$A$が全有界とは、任意の正実数$\epsilon$に対して有限個の半径$\epsilon$の開球で$A$を覆えるということでした。

【定理1】$X$の部分集合$A$が全有界であることと、 \[ \forall y \in {}^*A \, \forall \epsilon \in \mathbb{R}^+ \, \exists x \in A \, ({}^*d(y,x) < \epsilon ) \tag{1} \] が成り立つことは同値である。

(証明)$A$が空集合のときは自明だから、以下$A$は空でないとする。
 $A$は全有界とする。任意に正実数$\epsilon$をとると、有限個の$A$の点 $a_1, a_2, \cdots a_n$ が存在して、これらを中心とする半径$\epsilon$の開球で$A$を覆うことができるから、
\[ \forall y \in A \, (d(y,a_1) < \epsilon \lor d(y,a_2) < \epsilon \lor \cdots \lor d(y,a_n) < \epsilon ) \]
が成り立つ。移行原理より
\[ \forall y \in {}^*A \, ({}^*d(y,a_1) < \epsilon \lor {}^*d(y,a_2) < \epsilon \lor \cdots \lor {}^*d(y,a_n) < \epsilon ) \]
であるから、
\[ \forall y \in {}^*A \, \exists x \in A \, ({}^*d(y,x) < \epsilon ) \]
が成り立つ。$\epsilon$は任意の正実数だから$(1)$が成り立つ。
 逆を示すため、$A$は$(1)$をみたし、かつ全有界でないと仮定する。このときある正実数$\epsilon$をとると、どのような$A$の有限個の点をとってもそれらを中心とする半径$\epsilon$の開球で$A$を覆うことができない。この$\epsilon$に対し、$A$の点列 $\{ a_k \}$ を次のように帰納的に定める。まず$A$の要素を1つとって$a_0$とする。$a_0, \cdots , a_k$ が定まったとすると、$A$が全有界でないという仮定より、
\[A \setminus (U(a_0,\epsilon) \cup U(a_1,\epsilon) \cup \cdots \cup U(a_k,\epsilon)) \neq \emptyset \]
(ただし $U(a, \epsilon)$ は$a$を中心とする半径$\epsilon$の開球を表す)であるから、左辺の要素を1つとって$a_{k+1}$とする。こう定めた点列 $\{ a_k \}$ は明らかに
\[ \forall m,n \in \mathbb{N} \, (d(a_m,a_n) \ge \epsilon) \]
をみたすから、点列の超準拡大を考えると、移行原理より
\[ \forall m,n \in {}^*\mathbb{N} \, ({}^*d(a_m,a_n) \ge \epsilon) \]
が成り立つ。一方、ある無限大超自然数$n$をとると、$a_n \in {}^*A$ と$(1)$より ${}^*d(a_n,x) < \epsilon /2$ をみたす $x \in A$ が存在し、この$x$は
\[ \exists m \in {}^*\mathbb{N} \, ({}^*d(a_m,x) < \epsilon /2) \]
をみたすから、移行原理より
\[ \exists m \in \mathbb{N} \, (d(a_m,x) < \epsilon /2) \]
をみたす。すると上式をみたす自然数$m$に対して
\[ {}^*d(a_m,a_n) \le d(a_m,x) + {}^*d(a_n,x) < \epsilon /2 + \epsilon /2 = \epsilon \]
となるが、これは矛盾である。□

 次に完備性についての証明に移ります。完備性とはコーシー列が必ず収束するということでした。第5回で実数空間について証明した数列に関する結果は一般の距離空間の点列についても同様に成立しますので、これを利用します。

【定理2】$X$の部分集合$A$が完備であることと、 \[ \forall y \in {}^*A \, (\forall \epsilon \in \mathbb{R}^+ \, \exists x \in A \, ({}^*d(y,x) < \epsilon ) \to \exists x \in A \, (y \approx x)) \tag{2} \] が成り立つことは同値である。

(証明)$A$が空集合のときは自明だから、以下$A$は空でないとする。
 $A$は完備とする。任意に
\[ \forall \epsilon \in \mathbb{R}^+ \, \exists x \in A \, ({}^*d(y,x) < \epsilon ) \]
をみたす $y \in {}^*A$ をとる。この$y$に対して
\[ \forall k \in \mathbb{N} \, (k>0 \to {}^*d(y,a_k) < 1/k) \]
をみたすような$A$上の点列 $\{ a_k \}$ がとれる。この $\{ a_k \}$ は任意の $0 < m \le n$ をみたす自然数 $m,n$ に対して
\[ d(a_m,a_n) \le {}^*d(y,a_m) + {}^*d(y,a_n) < 1/m + 1/n \le 2/m \]
をみたすからコーシー列で、$A$が完備だから $\{ a_k \}$ はある$A$の点$x$に収束する。ここで $y \not \approx x$ と仮定すると、ある正実数$\epsilon$に対して ${}^*d(y,x) \ge \epsilon$ となるから、
\[ 1/k < \epsilon /2 \land d(a_k,x) < \epsilon /2 \]
が成り立つように十分大きな自然数$k$をとると
\[ {}^*d(y,x) \le {}^*d(y,a_k) + d(a_k,x) < 1/k + \epsilon /2 < \epsilon \]
となって矛盾を生じ、よってこの$x$は $y \approx x$ をみたすから$(2)$が成り立つ。
 逆に、$(2)$が成り立つとする。 $\{ a_k \}$ を$A$上のコーシー列とし、任意に $\epsilon \in \mathbb{R}^+$ をとると、コーシー列の定義より
\[ \forall m,n \in \mathbb{N} \, (m \ge L \land n \ge L \to d(a_m,a_n) < \epsilon) \]
をみたす自然数$L$がとれる。この $\epsilon , L$ に対し、移行原理より
\[ \forall m,n \in {}^*\mathbb{N} \, (m \ge L \land n \ge L \to {}^*d(a_m,a_n) < \epsilon) \]
が成り立つ。そこである無限大超実数$m$を固定して $y=a_m$ とおくと、
\[ \forall n \in {}^*\mathbb{N} \, (n \ge L \to {}^*d(y,a_n) < \epsilon) \]
より ${}^*d(y,a_L) < \epsilon$ が成り立ち、任意の $\epsilon \in \mathbb{R}^+$ に対してこれをみたす $L \in \mathbb{N}$ がとれるから、この$y$は
\[ \forall \epsilon \in \mathbb{R}^+ \, \exists x \in A \, ({}^*d(y,x) < \epsilon ) \]
をみたす。よって$(2)$より
\[ \exists x \in A \, (y \approx x) \]
が成り立ち、これをみたす$x$と任意の無限大超実数$n$に対して、$\{ a_k \}$ がコーシー列であることと第5回【定理2】より、
\[ a_n \approx a_m = y \approx x \]
となるから、第5回【数列の極限の定義】より、$\{ a_k \}$ は$A$の点$x$に収束する。従って$A$は完備である。□

 最後に、コンパクト性についての証明です。これは一般の位相空間についても成立する便利な定理で、超準モデルの広大性を前提とすると簡潔に証明できるのですが、ここでは距離空間の範囲で広大性を用いずに証明します。そのため証明がかなり煩雑になってしまいました(もっと簡潔な証明があればぜひご指摘ください)。

【定理3】$X$の部分集合$A$がコンパクトであることと、 \[ \forall y \in {}^*A \, \exists x \in A \, (y \approx x) \tag{3} \] が成り立つ(部分空間$A$において${}^*A$の点がすべて近標準点である)ことは同値である。

(証明)$A$が空集合のときは自明だから、以下$A$は空でないとする。
 $A$はコンパクトとし、$(3)$が成り立たない、すなわちある $y \in {}^*A$ で任意の $x \in A$ に対して $y \not \approx x$ となるものが存在すると仮定して矛盾を導く。このとき任意の $x \in A$ に対して正実数 $\epsilon _x$ がとれて ${}^*d(y,x) \ge \epsilon _x$ となるようにできる。$\{ U(x,\epsilon _x) \, \mid \, x \in A \}$ は$A$の開被覆だから、$A$のコンパクト性より有限個の点 $a_1,a_2, \cdots a_n \in A$ をとって、
\[ A \subseteq U(a_1,\epsilon _{a_1}) \cup U(a_2,\epsilon _{a_2}) \cup \cdots \cup U(a_n,\epsilon _{a_n}) \]
とすることができる。移行原理より
\[ {}^*A \subseteq {}^*U(a_1,\epsilon _{a_1}) \cup {}^*U(a_2,\epsilon _{a_2}) \cup \cdots \cup {}^*U(a_n,\epsilon _{a_n}) \]
であり、$y \in {}^*A$ だからどれかの $a_k$ に対して $y \in {}^*U(a_k,\epsilon _{a_k})$ すなわち ${}^*d(y,a_k) < \epsilon _{a_k}$ となるが、これは矛盾である。
 逆に、$(3)$が成り立ち、かつ$A$がコンパクトでないと仮定して矛盾を導く。このとき$A$の開被覆 $\mathcal{U}$ でどの有限個も$A$を被覆しないものが存在する。一方$(3)$から明らかに$(1)$が従うから、【定理1】より$A$は全有界である。そこで次のようにして$A$の部分集合の列 $\{ A_k \}$ を帰納的に定める。$A_0 = A$ とする。$A_k \subseteq A$ が $\mathcal{U}$ のどの有限個も $A_k$ を被覆しないように定まったとする。$A_k$ は全有界だから有限個の半径 $1/(k+1)$ の閉球で覆うことができて、そのうち少なくとも1つは $A_k$ との共通部分が $\mathcal{U}$ のどの有限個によっても被覆されない。そのような閉球の1つ $B_k$ をとり、$A_{k+1} = A_k \cap B_k$ として $A_{k+1}$ を定める。こうして定まる $\{ A_k \}$ は、
\[ A=A_0 \supseteq A_1 \supseteq \cdots \supseteq A_k \supseteq A_{k+1} \supseteq \cdots \]
であって、各 $A_k$ は $\mathcal{U}$ のどの有限個によっても被覆されない。当然それらは空でないから、$a_k \in A_k$となる点列 $\{ a_k \}$ がとれて、任意の $k \in \mathbb{N}$ に対し、
\[ \forall n \in \mathbb{N} \, (k \le n \to a_n \in A_k) \]
であるから、移行原理より
\[ \forall n \in {}^*\mathbb{N} \, (k \le n \to a_n \in {}^*A_k) \]
である。そこである無限大超自然数$n$をとって $y = a_n$ とする。$y \in {}^*A_0 ={}^*A$ だから、$(3)$より $y \approx x$ となる $x \in A$ が存在する。任意の $k \in \mathbb{N}$ に対し $y \in {}^*A_{k+1} = {}^*A_k \cap {}^*B_k$ より $y \in {}^*B_k$ で、$B_k$ は閉球だから閉集合、従って第7回で示した閉集合の同値条件より $x \in B_k$ である。一方 $x \in A$ だからある $\mathcal{U}$ の元$V$に対して $x \in V$ であり、$V$は開集合だから十分大きな $k \in \mathbb{N}$ をとると $B_k \subseteq V$ となる( $B_k$ の直径が $2/(k+1)$ だから)。しかし $A_{k+1} = A_k \cap B_k$ は $\mathcal{U}$ のどの有限個でも被覆されないはずだから、これは矛盾である。□

 以上で距離空間におけるタイトルの結果を超準モデルを用いて証明することができました。前回の結果を合わせると、距離空間における(実際には一般の位相空間における)いろいろな定理の証明を、超準モデル上の論理式を用いて簡単に行えることがわかります。

(続く)(前記事)(目次)

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共通テーマ:学問

木曽三川の輪中地帯を海を目指してコミュニティーバスで縦断 [バス]

 昨年の夏に、木曽三川(揖斐川、長良川、木曽川)の合流部を3県に渡って西から東へ横断しました(そのときの記事)
 三川が接近するこの地帯は歴史的に水害に悩まされ、輪中と呼ばれる堤防で囲まれるなど治水対策に苦労したことなど、学校の地理の時間に習った覚えがあります。
 今回はこの輪中地帯を北から南へバスで縦断してみました。



 大垣駅を出発地とし、南下して伊勢湾を目指します。
 このルートも路線バスの運行があまりなく、大部分がコミュニティーバスの乗り継ぎとなり、そのうち木曽三川公園付近で2kmほど徒歩になりました。

 まずは大垣駅から岐阜羽島駅までは名阪近鉄バスで。

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 途中、揖斐川と長良川を渡ります。

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 岐阜羽島駅からは海津市コミュニティーバスに乗ります。海津市を南北に縦断する結構長い距離を走る路線で、コミュニティーバスには珍しく大型車を使用し、土日も運行されています。利用客も結構いました。

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 再び長良川を渡って、揖斐川との間に挟まれた海津市内(旧平田町)に入ります。

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 昔の輪中の堤防跡のような遺構がありました。

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 輪中地帯の田園風景の中を、旧平田町、旧海津町の集落を結びながら走ります。

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 バスは揖斐川を渡って養老鉄道の石津駅へ向かうので、途中の海津温泉で乗り継ぎのため下車します。

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 温泉に入るほどの待ち時間はなかったので、付近にある「アクアワールド水郷パークセンター」という公園で時間をつぶしました。住宅のような建物が並んでおり、地元の人の展示会場として使われていました。

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 海津市の南部を走る小型のバスに乗り継ぎます。

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 象徴的なタワーが見えたらまもなく木曽三川公園に到着です。

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 ここから桑名市旧長島町まで2km強ほど徒歩です。桑名市側のコミュニティーバスの本数が少ないので出発時刻までに余裕がなく、公園内でゆっくり食事できなかったのが少し残念です。

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 徒歩で3回目の長良川を渡り、愛知県愛西市(旧立田村)に入ります。

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 今回は木曽川を渡らずに南に向かい、愛知県の飛び地のような輪中集落内を歩きます。

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 三重県桑名市(旧長島町)に入ってすぐ、コミュニティーバスの松の木集会所のバス停があります。
 木曽三川公園の売店で買ったサンドイッチを食べて堤防から川を眺めていたら、間もなく小型のバスが来たので乗車します。なお、このルートは日曜日には運行されません。

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 輪中に囲まれた旧長島町内をこまめに走り、JRと近鉄の線路をくぐって長島駅を経由し、さらに南へ向かいます。

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 湾岸長島ICの手前の松中でコミュニティーバスを下車し、伊勢湾への最終ランナーは桑名駅から長島温泉へ頻発している三重交通です。

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 巨大な絶叫マシン群が見えると、すぐに終点の長島温泉です。

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 長島温泉は遊園地、温泉施設、アウトレットモールが集まった有名なレジャーランドですが、その入口から堤防に上がってすぐの場所が、伊勢湾に面した陸地の南端になっています。
 絶叫マシンからの叫び声を聴きながら、広大な伊勢湾を眺めることができます。

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 先人たちの様々な治水対策の努力を偲びながら、農村地帯をバスで走破し、最後は海をみて感傷にひたるという、充実した1日でした。

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わかってない奴がわかったつもりで書き留める超準解析(その7) [数学]

【超準解析について生半可な知識しかない僕が、わかったつもりの内容をちょっとずつ書き留めていきます。不正確な内容や誤りもあることをご承知ください。】

(7) 距離空間の超準モデル

 実数体$\mathbb{R}$の超準モデルとして超実数体${}^*\mathbb{R}$を考えると、無限大や無限小が「数」として扱え、連続性や微分といった概念がシンプルに表現できることをみてきました。ここからは対象を少し一般化して、距離空間に対する超準モデルを考えることにします。

 距離空間は周知のとおり、集合$X$と距離関数と呼ばれる $d:X^2 \to \mathbb{R}$ の組 $\langle X,d \rangle$ で、$d$が次の3条件をみたすもののことをいいます。

  ① $\forall x,y \in X \, (d(x,y) \ge 0 \land (d(x,y) =0 \leftrightarrow x=y))$
  ② $\forall x,y \in X \, (d(x,y) = d(y,x))$
  ③ $\forall x,y,z \in X \, (d(x,z) \le d(x,y) + d(y,z))$

超準モデルを考えたいのですから、$X$は無限集合とします。$Y=X \cup \mathbb{R}$ とおくと、この$Y$の超準拡大${}^*Y$がとれて ${}^*Y={}^*X \cup {}^*\mathbb{R}$ となり、$Y$上の2変数関数$d$も超準拡大${}^*d$がとれて、移行原理より ${}^*d:{}^*X^2 \to {}^*\mathbb{R}$ となり、さらに${}^*d$は次の3条件をみたします。

  ① $\forall x,y \in {}^*X \, ({}^*d(x,y) \ge 0 \land ({}^*d(x,y) =0 \leftrightarrow x=y))$
  ② $\forall x,y \in {}^*X \, ({}^*d(x,y) = {}^*d(y,x))$
  ③ $\forall x,y,z \in {}^*X \, ({}^*d(x,z) \le {}^*d(x,y) + {}^*d(y,z))$

 こうして作った距離空間 $\langle X,d \rangle$ の超準モデル $\langle {}^*X,{}^*d \rangle$ を「超準距離空間」とでも呼びたいところですが、そんな用語を勝手に決めてよいのかどうか私にはわかりませんので、ここでは超準モデルという呼び方で統一することにします。

 さてこれも周知のことですが、距離空間にはよく知られた方法で開集合が定義され、位相空間となります。距離空間における位相の各概念を超準モデルを使ってシンプルに表すのが今回の主目的です。

 実は今回の内容はほとんど、距離空間に限らない一般の位相空間で成り立つ内容です。あえて一般化せずに距離空間だけを扱うのは、距離空間においてはある程度まで移行原理だけで議論を進めることができるということが理由になります。一般の位相空間では超準モデルに「広大性」と呼ばれる性質を仮定して議論を進める必要があり、これは超準解析では基本的な性質なのですが少し込み入った内容になります。距離空間だとこれから示すように、実数空間の延長のような考え方で話を進めることができます。

 さて、以下距離空間 $\langle X,d \rangle$ とその超準モデル $\langle {}^*X,{}^*d \rangle$ を対象にします。$X, {}^*X$ の元は慣習に従って点と呼びます。${}^*\mathbb{R}$と同じように次の各概念が定義できます。

 ・${}^*X$の点$a$に対し、$X$の点$b$が存在して ${}^*d(a,b)$ が(超実数として)有限のとき、$a$を有限点という。
  有限でないとき無限点という。
 ・${}^*X$の点$a,b$が ${}^*d(a,b) \approx 0$ のとき、$a$と$b$は無限に近いといい、$a \approx b$ で表す。これは同値関係である。
 ・${}^*X$の点$a$ に対し、$a \approx b$ をみたす$X$の点$b$が存在するとき、$a$を近標準点という。
  このとき点$b$は唯一なのでそれを$a$の標準部分といい、$\mathrm{st}(a)$ で表す。
 ・${}^*X$の点$a$ に対し、$\{ \, x \in {}^*X \mid x \approx a \, \}$ を$a$の単子(モナド)といい、$\mathrm{monad}(a)$ で表す。

 距離空間は多様なので、超準モデルに無限点のない距離空間もあるし、また一般に$a$が有限点でも近標準点とは限らないし、$\mathrm{monad}(a)$ が $\{ a \}$ と一致する場合もあったりします。

 任意の$X$の部分集合$A$は超準拡大${}^*A$がとれて ${}^*A \subseteq {}^*X$ となります。まず簡単な結果を示しておきましょう。

【定理1】$A \subseteq X$ に対し、$A$が有界であることと、${}^*A$の点がすべて有限点であることは同値である。

(証明)$A$が空ならば${}^*A$も空なので自明。以下$A$は空でないとする。
 $A$が有界とする。$A$の点$a$をとって固定すると、ある正実数$M$に対して
\[ \forall x \in A \, (d(x,a) \le M) \]
であるから、移行原理より
\[ \forall x \in {}^*A \, ({}^*d(x,a) \le M) \]
となる。よって${}^*A$の点はすべて有限点である。
 逆に${}^*A$の点がすべて有限点とする。ある$A$の点$a$に対して
\[ \exists M \in {}^*\mathbb{R}^+ \, \forall x \in {}^*A \, ({}^*d(x,a) \le M) \]
が成り立つ(Mを正の無限大にとればよい)から、移行原理より
\[ \exists M \in \mathbb{R}^+ \, \forall x \in A \, (d(x,a) \le M) \]
となる。よって$A$は有界である。□

 次の結果が今回の基本になります。

【定理2】$A \subseteq X$ に対し、$X$の点$a$が$A$の内点(=$A$が$a$の近傍)であることと、 \[ \forall x \in {}^*X \, (x \approx a \to x \in {}^*A) \tag{1} \] すなわち \[ \mathrm{monad}(a) \subseteq {}^*A \] が成り立つことは同値である。

(証明)$a$が$A$の内点とすると、ある正実数$\delta$が存在して
\[ \forall x \in X \, (d(x,a)< \delta \to x \in A) \]
が成り立つようにできる。移行原理より
\[ \forall x \in {}^*X \, ({}^*d(x,a)< \delta \to x \in {}^*A) \]
となり、$\delta$は正実数だから$(1)$が成り立つ。
 逆に$(1)$が成り立つとすると、
\[ \exists \delta \in {}^*\mathbb{R}^+ \, \forall x \in {}^*X \, ({}^*d(x,a) < \delta \to x \in {}^*A) \]
が成り立つ($\delta$を正の無限小にとればよい)から、移行原理より
\[ \exists \delta \in \mathbb{R}^+ \, \forall x \in X \, (d(x,a) < \delta \to x \in A) \]
となり、$a$は$A$の内点である。□

 これを元にして、簡単な考察により次々と位相的な概念に対する超準モデル上の同値条件が導かれます。結果を次表にまとめてみました。

位相的概念 超準モデル上の同値条件
$a$が$A$の内点 $\forall x \, (x \approx a \to x \in {}^*A)$ $\mathrm{monad}(a) \subseteq {}^*A$
$A$が開集合 $\forall x \in A \, \forall y \, (y \approx x \to y \in {}^*A)$ $\forall x \in A \, (\mathrm{monad}(x) \subseteq {}^*A)$
$a$が$A$の触点 $\exists x \, (x \approx a \land x \in {}^*A)$ $\mathrm{monad}(a) \cap {}^*A \neq \emptyset$
$A$が閉集合 $\forall x \in X \, (\exists y \, (y \approx x \land y \in {}^*A) \to x \in A)$ $\forall x \in X \, (\mathrm{monad}(x) \cap {}^*A \neq \emptyset \to x \in A)$
$a$が$A$の境界点 $\exists x \, (x \approx a \land x \in {}^*A) \land \exists x \, (x \approx a \land x \notin {}^*A)$ $\mathrm{monad}(a) \cap {}^*A \neq \emptyset \land \mathrm{monad}(a) \cap ({}^*X \setminus {}^*A) \neq \emptyset$
$a$が$A$の集積点 $\exists x \, (x \approx a \land x \in {}^*A \land x \neq a)$ $(\mathrm{monad}(a) \cap {}^*A) \setminus \{a\} \neq \emptyset$
$a$が$A$の孤立点 $\forall x \, (x \approx a \land x \in {}^*A \leftrightarrow x=a)$ $\mathrm{monad}(a) \cap {}^*A = \{ a \}$
$A$が自己稠密 $\forall x \in A \, \exists y \, (y \approx x \land y \in {}^*A \land y \neq x)$ $\forall x \in A \, ((\mathrm{monad}(x) \cap {}^*A) \setminus \{x\} \neq \emptyset)$
$A$が$X$において稠密 $\forall x \in X \, \exists y \, (y \approx x \land y \in {}^*A)$ $\forall x \in X \, (\mathrm{monad}(x) \cap {}^*A \neq \emptyset)$
$\forall x \in {}^*X \, \exists y \, (y \approx x \land y \in {}^*A)$ $\forall x \in {}^*X \, (\mathrm{monad}(x) \cap {}^*A \neq \emptyset)$


 これらの同値条件を用いることによって、例えば、
「自己稠密空間の開部分集合は自己稠密である」
という定理を、論理式の組み合わせだけで簡単に証明することができます。

(続く)(前記事)(目次)

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